第2話 お前に任せた

Lae《ライ》は、鏡の中の自分を見つめこう言った。

お前の本気が見てみたいんだ、今のお前は本当のお前か?

鏡の中の自分にそう問いかけたところで、返事なんかある筈がない。

返事どころか、自分の右目が死んでいるように力無くそこにあった。

お前は、そこにただくっついてるだけか?

Laeは自分の右目にだけ、話しかけた。

鏡の中に映る自分の右目は、俺の事を疑うような目で見ていた。

ふざけるな!

俺とお前は1つなんだぞ、いやお前は俺の右目なんだ、一緒に生きているんだぞ。

なんだその目は俺が信じられないのか?

俺が嫌いか?

そのLaeの言葉に、ほんの少しだけ右目が反応した様に見えた。

俺の生き方が嫌か、どうすりゃいい?どうすればお前はもっと輝くんだ?

Laeは、右目に話続けた。

その時ふっとLaeの中に言葉ではない感情の様な、自分の感情とは別のものを感じた。

ん?なんだ?この感覚は、これがお前の感情か?右目を見ながらLaeが言ったとき、何故か自分の事が信じられなくなり、全てが嫌に思えてきた。無気力感がLaeの身体を包み込んだ。

これは、お前の感覚だな?

Laeのその言葉にゆっくりと、力を取り戻しつつある右目の存在がそこにあった。

分かった、分かったよ。もう全部お前の好きにしな、今までの俺のやり方が気にくわなかったんだな?いいよ、やりたい様にやりな。生きたい様に生きてくれればいいよ。全部お前に任せるよ。それでいんだろ?

Laeのその言葉を最後に、全ては右目に託されることとなった。


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