第13話 あとがき

 拙い作品を最後までお読み頂き、ありがとうございます。

 彼女に関する一瞬の追憶。

 そして冒頭に戻る。というパターンのお話です。


「み、未来に繋がってるラストだからこれはハッピーエンド」

 自分はそう強弁してしまうタイプの人間なのですが、あまり好きでは無い、という人も多いかと思います。

 こういう展開が苦手な方には申し訳ありません。

 残念ながら自分の筆力では、憲法ネタで血を流さずにラストまで描き切るということは出来そうにありませんでした。


 まあ、「改憲の話ってどうせ進まないから、百周年ぐらいでないと無理なんじゃない?」という発想から、「あと十年もしたら皆気づいちゃうから、早めに文章にしておこう」と思っただけなんですけどね。


 一応、憲法に関する個人的なスタンスを記しておきます。

 現行憲法はアメリカが作ったものだ。その見方には一面の真実があるでしょう。

 おそらくアメリカは敗戦国に対し。

 二度と逆らうことの出来ないよう、独立国に対して屈辱的な憲法を押しつけたつもりだったのだと思います。


 自己を守るために戦う。アメリカはそれを神聖な権利として憚らない国なのですから。

 憲法第九条に、プラスの意味しか見なかったなどということは考えられません。

「こいつは気の利いた冗談だ」

 それが偽らざる本心だったのではないでしょうか。


 ですが、ここで予想外の事が起きます。

 日本人は意外にもそれを本気で信じ。

 やがて日本を戦争に参加させることがアメリカの国益となった時代において。

 憲法は日本を戦争から遠ざける力を持つようになってしまった。


 奴隷の頸木であったはずのそれを。

 日本人は自らの手で、国を災いから守る不思議な首飾りに作り替えた。

 この辺りの展開はフィクションなど及びもつかないほど感動的で。

 先人達の努力は、語り継ぐに足るストーリーだと思っています。


 世界には、憲法で国民の人権を謳いながら。

 現実にはそれが存在しない国が幾つもあります。


 文字として記されただけの法など、ただの紙切れでしかない。

 それを使い、活かすことにこそ意味がある。

「法を作る」とは条文を定めることだけでなく、いやむしろ運用にこそ重きが置かれるべき言葉なのだから。


 ならばこの国の憲法は紛れもなく日本人が作ってきたものだと。

 微塵の疑問も無く断言出来る。

 少なくとも自分はそう思っています。


 ですが同時に。

 法とは人々がより良く生きるための道具に過ぎない。

 そして世界が変わり続ける中、永遠に法だけが変わらないことなどあり得ない。

 いずれ私たちは、第九条を含め憲法の改正を迫られることになるでしょう。


 その時。

 瞬間的な状況に流され、議論が不十分なまま進んでしまうより。

 まだ時間のあるうちに。

 話だけでも始めておいた方が良い。

 先人達の創り上げた魔法が我々を護ってくれている、そのうちに。


 そしてもし可能なら。

 それは自分達の世代、ましてそれより古い世代などではなく。

 次を担うべき新しい世代が中心となって考えるもので在って欲しい。

 そんな風に願っています。


 では最後にもう一度。

 お読み頂き、ありがとうごいました。

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日本国憲法改憲の党 有木 としもと @Arigirisu

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