「異世界転生もの」をご存知だろうか。小説投稿サイトを中心に根強い人気を持ち、漫画化やアニメ化作品も多い創作ジャンルの一つである。「異世界転生もの」のオーソドックスなフォーマットを大まかに説明すると、現実世界で事故や事件などに巻き込まれて死んでしまった主人公が、剣と魔法のファンタジー的な異世界で生き返り、第二の人生を歩み始める……といったようなものだ。

　検索ワードの「ニートの俺が可愛い子どもたちを異世界転生」も、某小説投稿サイトで連載されているweb小説である。ニートの主人公が可愛い子どもたちと共に異世界へ転生する話……かと思いきや、よくよく見ると、「ニートの俺が可愛い子どもたち『を』異世界転生」だ。果たしてどういう意味なのか、以下のあらすじを見てもらえればわかるだろう。

　主人公は運送会社をクビになり、ニート生活を送っている40歳の独身男性。やることもなく引きこもり気味の毎日を送る中で深夜に見た異世界転生もののアニメにハマり、クビになった会社のトラックを盗んで、街で見かけた幼い子どもたちを轢き殺す毎日を送り始める。轢き殺す理由は、「子どもたちを異世界に転生させてあげるため」。と言っても異世界の様子が描かれるようなことは一切なく、ただただ主人公が現実世界で子どもを轢き殺し続けるだけの内容となっている。

　これだけでもかなり危ないが、更に危ないことにこの小説、本記事を執筆している時点でなんと56話も連載されている。話の内容はすべて同じ、毎話毎話新しい子どもを轢き殺すだけ。フォロワー数や応援コメント数を見るに、読者はなかなか多く、人気もあるようだ。間違ってもアニメ化などされないよう、ただただ祈るばかりである。