　2004年9月、当時34歳の会社員の男性が逮捕された。罪状は殺人罪。都内某区某駅前の喫煙所で、当時70歳の女性の頭部を金槌で殴り、殺害したのである。平日の真っ昼間に、利用者の多い喫煙所で堂々と、それもか弱い高齢女性を撲殺するという残忍かつ大胆不敵な凶悪事件として世間を震撼させたこの事件だが、更に驚くことに犯人の男は、なんとこれが初犯ではなかったのだ。同年の7月と8月に、都内の別の区の喫煙所で同じように高齢女性を金槌で殴りつけて、現場から逃走していたのである。幸いにもこの二件に関しては、被害女性たちは死亡には至らなかったようだが、それにしても残忍な事件だ。

　果たしてなぜ犯人は、喫煙所で、高齢の女性ばかりを狙ったのか。警察の取り調べに対し、男はこう語ったという。

「着物姿でタバコを吸う老婆を見かけたら五秒以内に撲殺すると幸せになれるって言うじゃないですか」

　殺害された女性も殴られた女性二人も、確かに事件当時は着物を着ていたようなのだが、男の言うことはまったく意味がわからない。取り調べにあたっていた警官もさぞかし呆然としたことだろう。

　男のこの供述内容だけでも大層不気味で、十分『検索してはいけない』足り得るものだが、更に恐ろしいのが、事件後、ネット上で次々と「（着物姿でタバコを吸う老婆を見かけたら五秒以内に撲殺すると幸せになれると）聞いたことがある」「知ってるけど本当に実行するとは」「昔、何かの雑誌で読んだ記憶がある」などと言う人々が現れていることだ。果たしてこれはただのネット民の悪ノリなのか、それとも本当にどこかで「着物姿でタバコを吸う老婆を見かけたら五秒以内に撲殺すると幸せになれる」という話が出回っていたのか。どちらにしても気味の悪い話である。