episode 11
家に帰ったのは深夜だった。
家族は全員、寝息をたてて眠っている。
ハシラの実が入った籠を置き、
俺はとりあえず毛布にもぐる。
が、目はぱっちりと冴えたままだった。
(あんまり眠くないな……)
眠くないからといって、特にやることもない。
天井のシミでも数えるか?
それはそれで虚しいな。
俺たちの家族は、子どもは皆で一枚の毛布を使っている。
つまり、母だけは別の毛布だ。
昔は全員で同じ毛布にくるまっていたが、
母が体調を崩してからはこの形が当たり前になってしまった。
一日中床にいるからなんだろうけど、なんだか寂しい。
並びはドアに近い順に、俺、ジン、ラン。
ジンは大の字になって、気持ちよさそうだ。
ふふん。
ちょっとイタズラしてやろうか。
俺はジンのほっぺを軽くつねった。
柔らかくて、あったかい。
ずっと触っていたくなるくらい、すべすべだ。
ジンは苦しそうに寝返りをうった。
これは俺がつねったからだな。
少し、申し訳ないことをした。
(はあ〜〜……)
突然、眠気が襲ってきた。
今日の疲れがどっと押し寄せる。
ったく、森は遠いんだよ。
危険な目にもあったし。
今度チッキに挑発されても絶対行かねぇ。
絶対。
……たぶん。
そういえば、あの鎧はなんだったんだろうな。
考えれば考えるほど、見当がつかない。
俺たちを助けた意図は?
なんであんなところにいた?
うーん。
分からん。
あれこれ考えてるうちに、俺は深い眠りについた。
***
音だ。
外で音がする。
俺は外の異音で目を覚ました。
何時間眠っただろう。
いや、何十分か。
正確な時間は分からないが、今はそんなことどうでもいい。
やけに騒がしいな。
人の叫び声?
こんな時間に?
人殺しでもあったのか?
俺は外に出て、確認しようとした。
途端、家が大きく揺れ動いた。
「うわっ!!??」
バランスを崩して、前のめりになる。
なんとか手をついたが、足を擦った。
いてぇ。
この揺れで、家族全員が起きた。
「どうしたんだい!? 何が起こってる!?」
母は真っ青な顔で、尋ねてくる。
「……分からない。とりあえず外に出よう」
何が起こったのだろう。
今まで体験したことのないような揺れだった。
外は相変わらず騒がしいし。
よくないことが起こっているのは間違いない。
嫌な予感がする。
「うぇえええーん!! 怖いよぉおおーー!!」
「こらっ。こんなんで泣かないの」
泣き出したジンを、ランがなだめる。
成長してるじゃないか、ラン。
てっきり、一緒に泣くものかと思ったが。
やっぱりランは、ジンにとってお姉ちゃんなんだな。
俺たちは、急いで外に出た。
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