#4 ヴァルガンテとは別の仕方で
"
口元を隠したヴァルガンテの男がこちらを一瞥した。気味悪そうにこちらを見つめながら、鬱陶しげにスカーフを緩める。鬱陶しいなら何故付けているのだろう? そんな疑問は解決されることもなく、男は口を開いた。
"
"......"
はっとして周りを見る。どうやらヴァルガンテの男の背中を無意識に追っていたらしい。そして路地裏を縫うように歩いているうちに自分が一体どこにいるのか良く分からなくなっていた。取り敢えず、話を繋ぐのに出てきたのは素朴な疑問だった。
"
"
ヴァルガンテの男は自分が助けた事実など無いといいたげに首を傾げた。
"
"
"
そう言い切ってヴァルガンテの男はまた道を進み始めた。大股のゆったりとした歩調に付いていくために自分の歩調は早くなっていた。薄暗い見知らぬ路地を歩いていると不安が心の中に広がってきた。これ以上、ヴァルガンテの男に付いていくのは無駄だとしてもどうすれば大通りに出られるのか訊いておく必要があった。
"
"
男は振り返って両腕を開いた。何かを諭すような口調に少し違和感を感じる。
"
"
"
どんな職業なんだそれは。逆に気になってくる……。
ヴァルガンテの男はまた歩き出した。訂正しようとその横から覗き込むようにして顔を出した。
"
"
"
"
そんな感じで二人の間でレールから脱線しまくるような言い合いが始まった。歩きながら言い合いをしているうちにどうやらヴァルガンテの男の家にまで付いてしまったようだ。薄っぺらい鉄板のドアに片方固定が外れたネームプレートが掛かっている。そこには"
周りを見ても全く道が分からない状況に私は本当に戸惑ってしまっていた。男も私の方を見て心配そうな顔を浮かべる。
"
"
"
"
頷く事も出来ず婉曲的に言うことしか出来なかった。我ながら素直じゃないと思ったが、そんな私を見てヴァルガンテの男、レシェールは笑みを浮かべる。きっと本当は夜闇が怖いのだということがバレているのだと思うと自然に顔が熱くなってきた。そんな感情をよそにレシェールはそのドアを開けようと鍵を取り出していた。だが、ドアとノブを凝視すると怪訝そうな顔でドアの先の部屋を見据えるように眺めた。
"
"
"
強盗と鉢合わせになるかも知れないのにレシェールは堂々とドアを引いた。薄暗い部屋の中には三人の人影が見えた。一人は足を組んで
"
"
横暴な態度で座っている男は足を組み直して私を一瞥した。
"
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます