海へ行こう(下の三)(凄く短いです
ガタン、ガタン、と音を立てて走る電車。俺はじっっと窓を見ている。夕日が黄金色に輝き海を照らしキラキラと光っている。この光景は一人で見ている。他の皆は疲れて爆睡しているからな。
俺の隣には陽愛が居る。肩に凭れ掛かられており俺は平常心を維持するのが精一杯だ。
でも、あれからは普通に話せた。顔が熱くなる事も無かったし、言葉が詰まる事も無かった。今は仕方ない、こんなに近くに居られるんだ、気持ちが隠せる訳がない。
多分、これからも大丈夫だろう。気持ちを封じ込めて居れば。
「ん。旭~?」
陽愛が起きた。眠たそうな目を袖で擦りながら欠伸をした。可愛い。これぐらいなら思っても良いよな。
「楽しかったね」
「そうだな」
楽しかったと言えば楽しかった。気づけた事も一杯あった。
今年の夏は良い思い出になったな。来年はどうなるかな、もしかしたら来年の夏は───。
「陽愛、夕焼け綺麗だぞ」
「わあ、ほんとだ」
陽愛が身を乗り出して窓の外を見る。陽愛からシャンプーの良い匂いがした。
くっ、俺の事なんてお構い無しに近寄って来やがって………。
一章完結。
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