期末が終わったら

「陽愛、ここなんだけど」

「あー、そこは」


期末まで後一日と迫って来た。俺は毎日陽愛に付き添って貰いながら勉強をして、たまに暉達とか、一人で勉強をしたりして着実と期末に備えている。でも、まだ殆ど分からない。その度に陽愛に教えて貰ってるから、期末終わったら何かしないとな。金銭は………大丈夫とは言えないが、ここまでしてくれているんだからお礼はしないいけないし。


「陽愛、期末終わったらどっか行こう」

「え。まぁ、良いけど、何処行くの?」

「陽愛が好きな場所で良いよ」

「ん。なら考えとく」


そんな会話を挟みつつ、手を動かして勉強をする。陽愛が問題集を見ながら、うーん、と唸り指を顎に当てて悩むポーズを取った。だが、俺は何も出来ないからなるべく自分の問題集を自力で解く。それが一番陽愛に迷惑が掛からない方法だから。


「あ、プール行きたい」

「え。あー、そっちか」

「ん? そっち?」

「いや、何でも」


まさか、悩んでるのがそっちの方だとは思ってなかった。でも、プールか、確かに七月に入ってからマジで暑くなってきたし、プールより海でも良いかもな。


「あれだったら、海行くか?」

「え?」


陽愛は驚愕していた。何でそこまで驚くだ?


「へぇー、何時もはバイト以外滅多に外に出ない癖に、そう言う事言うんだ」


あー、そうだな。バイト以外で外に出ると言ったら陽愛に呼び出された時ぐらいだし、後は家でゲーム三昧だ。だから、驚いていたのか。


「まぁ、海でもプールでも良いから泳ぎたい!」

「了解。暉達にも声かけるか」

「うん。そうだね」


それからは無駄な会話は挟まず、勉強に意識を集中させて明日に備えた。


***



はぁ、緊張する。テストでこんなに緊張したのは初めてだ。緊張のせいなのか手の震えが止まらないし、心臓の鼓動も速い気がする。教室内もなんだが落ち着かない空気だ。皆もテストだから緊張してるのか、ぶつぶつ何かを言ってる奴も居れば、教科書やノートを凝視する奴も居る。一部そんな空気でもお構い無しの騒いでいるグループが居るが、それに構う程、俺には余裕が無いから無視だ。


「おい、あまり思い詰めるなよ? いざといざと言う時に緊張し過ぎて指が動かんぞ」


前の席から暉が今の俺を見て心配の声を掛けてくれた。こいつは何時もはおちょくってくるのに、こう言う時はこうして声を掛けてくれるから嫌いになれないんだよなぁ。


「ありがとう。でも、今回はマジでやらないといけないからもう少しだけな」


心配してくれるのは本当に嬉しい。でも、今回は本当にマジでやらないと小遣いが減らされる………のもあるが、今は、その、なんだか、今日まで付き合ってくれた陽愛の為にもってのがあるな。自分の勉強もしつつ、俺に教えてくれたんだから、それに報いる成果残したい。いや、“したい” じゃなくて“する” だな。俺は絶対に六十点以上は取るぞ!───



そこからは短い様で長かった。陽愛のお陰か問題はある程度はすらすら解けた。突っ掛かる場所もあったが何とか解いて、答えを全部埋めてやった。





***



「あぁ、終わった………」


二日間の期末テストが終わり、俺は燃え尽きていた。はは、こんなに頑張ったのは何時ぶりだろうか、いや、そんなの今はどうでも良い、後はテストの結果を待つだけ。それなりに自信はあるがそれ以上に不安もある。でも、今さら後悔したって遅いからってポジティブにはなれないが、結果を待とう。それしか今出来る事はない。



更に一週間後のテスト返却日、どうにか六十点以上は取れたと俺は歓喜した。

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