第15話 食の安全って、誰が保証しているの?
This Message From NIRASAKI N-TOKYO JAPAN
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おはようございます。こちらは天気がぐずついている。今にも雨が降りそうだ。季節は夏も終わった頃で、残暑も消えている。ここ三十年は温暖化が続いていると研究者は言うけれど、天気予報では平年並みを繰り返している。つまり、じわじわと気候が変わっているけど、あまりに少しずつで、平年並みを脱しないんだろう。
令和の寿司について話した時、陸マグロの話をしたと思う。覚えてる? そんな具合で、とにかくここ十数年の日本人は、倫理をやや無視して、文化とか、生活を守っている。でもそれを考え始めると、平成になる前から、畜産に関しては生命に対する冒涜は少しとはいえ、しっかりした形で存在した。君たちも見たことがあると思うけど、養鶏場とか養豚場は、建物の中に鶏や豚を閉じ込めていたわけで、例えば牛の放牧とは、少し違う。その程度の生命への拘束というか、まさに、食うために育てる、という絶対的な、譲れない理屈からくる、生命の支配は、人間は大昔からやっていたことになる。
難しい問題だけど、大昔の人間は狩猟をして動物を狩っていた。それがいつからか、動物を自分たちで育て、苦労なくそれを食べる方向に進んだ。知恵といえば知恵だ。それがあまりに長く続きすぎて、もう動物を狩ろうにも、ほとんどそんな動物はいない。正確には、令和の人口集中政策の結果、地方は荒れ果てて、野生動物が繁栄しているらしいし、そこへ狩りに行くツアーなどもある。都市部は逆に、野良猫さえいない、ということを主張したい。
何を言いたいか、僕もうまく言葉にできないけど、令和になる前、平成よりもずっと前から、人間社会では、生命の冒涜が、自然と受け入れられていた側面があり、しかし、そんなことをまるで知らないように、なかったかのように、唐突に生命の冒涜というものを主張する集団がいる、ってことだ。
今の養鶏場や養豚場は、五割ほどは平成と変わらない。だけどそれは都市部に比較的、近い位置に存在した業者だけで、人口集中の結果、地方の業者は出荷が極めて困難になり、国の援助もあり、人口密集地の近くに移転した。ここで、畜産業の新しい側面が出現した。
過激な畜産業者は、四階建くらいの建物の中で豚や鶏を飼っている。この建物の中で、育て、屠殺し、解体し、商品として出荷する。ほとんどが自動化されている。こんな場所はほとんどないが、しかし、ある種のデモンストレーションも兼ねて、運営され、実際に業績はいいらしい。この手の「豚肉ビル」や「鶏肉ビル」は何軒も存在する。ジョークとして、「エレベータ」と言われたりもするね。
最も過激な畜産業の一角は、品種改良だ。品種改良というか、遺伝子改良。平成の頃から今もだけど、さまざまな加工品に「遺伝子組み換えではない」という表示がある。平成の頃は、一部の野菜、大豆などでそういう表示があったようだが、今は、ほとんどの野菜や穀物で表示が義務付けられ、それは肉や魚にも及んでいる。ちなみに陸マグロは「遺伝子改良食品」の代表格となる。ただ、遺伝子組み換え食品や遺伝子改良食品が多すぎて、逆に誰も気にしない。
遺伝子改良された豚肉や鶏肉、養殖された魚が、大量に出回り、日夜、改良が重ねられている。病気にならず、大きく育って、大量の商品に変わる。ただ、それだけでは優良な製品ではないんだよ。最も大きな要素は、人体に悪影響がない、という実証だ。僕は専門家ではないので、詳細は知らないけど、遺伝子改良食品を何十年も食べ続けても、人体を害さない、と、国は何らかの方法で判定し、認証することで、初めて遺伝子組み換え食品や遺伝子改良食品は、やっと販売できる。
でもいったい、どうやって調べているのか。もしかしたらどこかの人間は、毎日毎食、遺伝子改良食品だけを食べて、自分の体で実際のところを調べているのかもしれない。薬物でいう治験だけど、もしそんなことをしていたら、人体実験じみている。でも他にやりようもないし、仕方ないのかな。僕はどんな報酬を受け取っても、やりたくないな。
これは平成にはなかったと思うけど、米粉とも小麦粉とも違うんだけど、それにそっくりな「万能粉」と呼ばれるものが発売されて、頻繁にネット上で宣伝されていた。これは、低カロリー、低糖質、低脂肪が売りで、粉の状態で売っていて、自分でうどんとか、すいとん(ドクが作ってくれる、変な料理)のようにしたりする。ちょうど万能粉が発売になる前に、料理ブームが令和の日本を席巻していて、製麺機の小型のものが売れたのを受けて、あるいは万能粉は発売されたかもしれない。五、六年という長い間、自宅でうどんやパスタ、ラーメンを作るのが流行った。
というわけで、令和の食卓に平成の食卓との差はそれほどないが、見えないところでは色々と変わっている。
遺伝子改良人間は、生まれていない。さすがに人間を改造するほどの倫理の崩壊は、表向き、起こっていないよ。安心していい。
ああ、そうだね、宇宙に送り出された人間も、今のところ、いない。
だから宇宙から帰ってきた宇宙飛行士が、私は遺伝子を改良されている、などと言い出す心配はしなくていいよ。
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Reply - Impossible.
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P.S. Perfect Soldier You Know?
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