第2話 人口問題の進行

This Message From NIRASAKI N-TOKYO JAPAN

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 やあ、元気? こちらは真夏だよ。とんでもなく暑い。東京の最高気温は四十度を平然と超えてくる。殺人的で、もはや昼間は誰も出歩かない。エアコンの過剰な稼働による電力不足は、令和十年代に大騒ぎになったが、今はどうにかやり過ごしている。

 電気の話は後にとっておくとして、今日は人口について、お伝えしよう。

 だいぶ前から声高に主張されていた、高齢化と少子化は、結局、今も解決していない。

 高齢化問題は、ある瞬間に、解決されるかもしれない、という報道があったが、これはデマだ。そもそも、六十五歳以上の人々が病気や寿命でバタバタとこの世から退場して、何が残ったのか、と考えると、事実ははっきりしている。膨大と言っていい数の高齢者を支えていた若年層が、今は高齢者となり、数こそ減ったものの、やはり数が減っている若年層が、その高齢者を支えているわけ。

 よくマスコミが報じていたとされている、全国民の年齢層を棒グラフで表現した表は、今では笑い話だ。左側が〇歳で、右側が百歳の棒グラフは、右に行くほど高くなっている、という表現が、結局、ここ三十年で何も変わらなかった。

 つまりそれだけ少子化が深刻だということだ。理由はいろいろあるようだが、とりあえずは、人間の身体の機能が失われたわけではない。社会的に、子供を作ること、養うこと、そういうことが不利に働くようになってしまい、今の二十代から三十代は、男も女も、必死に働いている。金さえあれば老後は安心、という発想が定着し、政府はこれを払拭しようとしたが、無理だった。何せ、今の二十代や三十代の連中は、自分が子どもの時に祖父母の生活を見て育って、その時は政府が高齢者対策に大わらわとなり、それもほとんど火の車だった。それをちゃんと認識している。その頃の若年層である両親も、今は仕事を辞めて、貯蓄された財力で、自由に生きている。こうして老後の生活に対するイメージどころか、生き方さえもが変貌した。

 ちなみに、これは別の問題でもあるが、海外からの移民は、ほとんど存在しない。令和の初期には、政府の主導で外国人労働者がかなりの数、日本にいたが、九割九分九厘が定着しなかった。高齢化による財政への圧迫が強烈すぎて、政府は外国人を集めたり教育することが事実上、不可能になった。民間での外国人労働者のスカウトや教育を請け負う企業もあったが、すぐに消えた。外国人にとって住みやすい国ではなくなり、彼らも自然と離れていったのだった。

 この点に関しては日本の経済が重要で、この点は平成からは想像もできないほどの、大激震に見舞われていたが、まぁ、いずれ、触れないわけにはいかない。

 人口が減少していく動きは歯止めがきかず、政府の英断(と後に言われた)により、地方の集落の住民が優遇される形で、国内での移民政策、人口の集中が行われた。この煽りを最初に受けたのは、中国地方と東北地方だった。中国地方でも、鳥取と島根は、ほとんどの住民が二十年をかけて、大阪、もしくは福岡に移住した。今ではちょっとした観光ツアーの舞台になっているが、その観光ツアーもバスで行ったりするわけではない。大型ヘリコプターで、廃墟と化した街や村を眺めるのだ。正確には、廃墟ではなく、そこで生活している人もいるが、それも仕事を辞めた初期高齢者ではなく、若者の無謀さが原動力の、世捨て人的な青年くらいである。高齢者が生活するのは、事実上、不可能だ。何せ、食料品店も病院もない。役所すらない。何もないのだ。

 そんなわけで、今の日本人は、札幌、東京、名古屋、大阪、愛媛、福岡、沖縄に分散している。鉄道事業は驚異的なスピードで衰退し、リニアモーターカーは結局、東京と名古屋の間が開通しただけで、今は本数がかなり少ない。ここだけは外国人が今でも頻繁にやってくる要素だ。JRは一社に統一され、運行されている路線は、都市内部の環状線が大半で、遠距離を結ぶのは、都市間の新幹線くらいのものだ。平成を振り返ると、お盆や年末年始に、乗車率が二〇〇パーセントとか報道されていたようだが、もはやそんなことはない。そもそも、田舎に帰る、帰省する、という概念が消えた。もはや今の国民の数割は、都市部で生まれ、都市部で育っている。高齢者は体力などの面で故郷に帰ることもできない。宿泊施設もないし。

 というわけで、令和は、人口減少という大問題に飲み込まれ、しかもそれを克服する手段もなく、必死にバランスを取っている、ということになる。

 ちなみに僕は三十代で、仕事はしているが、この仕事というのも実に奇妙なものだ、ということは前にメッセージを送った。読めたかな?

 またメッセージを送るよ、楽しみにしてくれると嬉しい。




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P.S. See You Space Cowboy

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