犠牲 第二章

 れんあいがはじまった。

 邪魔者はいなかった。

 わいじんこうのストーカーは雲散霧消しふたりはかんうんもうりようの関係となっていった。どうせいしてみるとり女性はあぶなっかしい。はちがいの横断歩道で信号無視をして駅構内のプラットフォームではまえにせんかいしすぎて電車にれきさつされそうになった。ゆゑにこそこいびとは女性をまもってやろうとけつすることになる。ふたりはしよくそうぜんたる遊園地にむかった。へきすうの遊園地ゆゑに最新型の遊戯施設はゆうであったがふたりは童心をばんかいする。就中なかんずくけんらんごうなる山車のパレードのに重要なることをほうふつとした。つゆいささか老朽化したさんがんたる山車がバランスをくずしててきちよくするふたりに猛襲せんとしたときである。女性は背中の衣服をひっぱられるような感覚になり後方にてんした。ゆゑに女性は露命をつなぎとめてないとんざんした男性も無傷だった。遊園地のスタッフが顔面そうはくで〈大丈夫ですか〉と介抱するなか女性はおもいだした。〈幼稚園のときもおなじことがあったよね〉と。〈あのときも宮内くんがたすけてくれたはずだよ〉と。〈おれはあのときもたすけていないよ〉と宮内がいっても女性はかんとしていた。

 えいきよけみされた。

 九死一生の遊園地での出来事から女性は連鎖的にせきの記憶をほうふつとしていった。どうせいするアパートの一室でTVをりゆうらんしながらこいびとでんした。〈小学生のときは校舎からおちそうになったのをたすけられてね〉と。〈中学生時代はごうかんされそうになったのをたすけられたの〉と。〈高校生時代にはやくをやらせられそうになったのをたすけられて〉と。きよくてんせきこいびとは否定する。〈だからそういうのはおれがやったんじゃないって〉と。〈抑ゝおれたちは幼稚園でわかれてからだいがく生になるまでわなかったじゃん〉と。ぜんとした女性はスマートフォンでぼくせんサイトを穿せんさくしふたりの運勢をぜいした。結果は〈ミナガワさんとミヤウチさんは天照大神のをうけています。とくにミヤウチさんは霊感がつよくよろずの神様に祝福されている傾向があります。〉とのことだ。〈そっかほんとうにおれたちって神様にまもられてるのかもしれないな〉と男性がいうと〈そうだよわたしたちのせきはわたしたちが結婚するためだったんだよ〉という。しつけにプロポーズしたことで男性もけつした。〈結婚しようか〉と。

 蜜月がはじまった。

 ぼうようだいがく時代に結婚することになる。わかの学生結婚にろくしんけんぞくは反対するかもしれない。ゆうであった。男性の両親は〈この子もしかしたら結婚できないかもっておもってたの〉といい女性の両親は〈宮内くんのことはおぼえてるよきみなら大丈夫だ〉といった。婚約ゆびを購入し両家の対面と結納を遂行した。からは就中なかんずく入籍と結婚式の準備となるのだが問題が発生する。また同居するアパートにぬえてきなる手紙がとどくようになった。〈結婚をかんがえなおしてください〉や〈そのひとに貴あなたはまもれません〉ということだ。不気味な手紙が連日とどくのでふんまんやるかたない男性は愈いよいよけつした。手紙の配達時刻がおしなべて真夜中なのでどうせいするアパートの入口によもすがらしようりつすることにしたわけだ。すがに一晩中まんじりともせずに警戒されていてはストーカーも八方ふさがりだ。ろうぜきの手紙はとどかなくなり女性は〈もういいよあっちもこりごりしたんじゃないのちゃんと寝ないとたおれるよ〉といったが男性は〈ぼくは絶対に皆川をまもってやる皆川のためなら死んでもいい〉といい女性はかんとして男性を抱擁した。

 ふたりのはんはつよくなった。

 げんにもあるように地固まったふたりはアパートの一室にちつきよして結婚の予定をせんばんこうしはじめた。また手紙がとどいた。しんほのおひようされた男性は翌日アパートの自室のなかで手紙の配達口を凝視し手紙がとどくぎようぼうした。きた。げつこうした男性はしゆつこつととびらをあけてストーカーを緊縛する。陰陰滅滅たるふうぼうのストーカーが〈やめてよ宮内くん〉というので男性はきつきようする。〈おれの名前何どこった〉というと〈ぼくだよ城田だ〉といった。宮内はしばらく沈思黙考しほうふつとした。〈おまえがストーカーだったのか〉と。ないに宮内はこくそくとする。〈おまえ幼稚園のころからだいがく生のころまでずっと〉とたまゆら絶句し〈ずっとストーカーしてきたのか〉と。様子を見守っていた女性もぼうぜんしつしている。宮内は容赦しない。〈皆川警察をよべこいつ逮捕できるぞ〉とさけぶ。一一〇番するまえにアパートかいわいけいしていた警官が異変に勘付いてアパートにり沈黙する城田を連行していった。

 ふたりはあんする。

〈やっぱり神様にまもられてるんだ〉と。 

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