第49話 主婦達の戦場

 デルク:よっ!また会ったな、ナレーターのデルクだ♪天界宇宙の改革に天魔協定の第一歩を踏み出す事に成功したフィローネさん。彼女が次に打ち出した政策は中流階級以下の所得税並びに消費税の完全撤廃と富裕層への富裕税の導入だった。そしては今、明日の家計を支える主婦達の闘いの火蓋が切って落とされようとしていた!


 天界時間8:50 王都内スーパーカミカゼ前


 スーパーの前で仁王立ちするフィローネ


 フィローネ:我ながら思い切った政策を打ち出したものだわ。


 エリカ:色々ツッコミどころ満載だけど、先ずはそのマントは何?下に何着てんの?


 腕組みするミルフィー


 ミルフィー:いつも以上に激しい闘いになるね母さん。


 エリカ:ねぇ、人の話聞いてる?


 ???:フッ、どうやら貴女もチラシを見て来たのね。という名の戦場に。


 フィローネ:フッ、やっぱり来たわね、


 エリカ:いや、3でしょ。


 ???:あの14天界王様が絶賛した魔界宇宙3大珍味の一つカールトン肉が私ら庶民に届く程の値段で売られるというのは外せないわね♪


 フィローネ:クッ!までも参戦するとは!


 エリカ:いやいや、4でしょ。


 ドワーフ族:ったく!この国に珍しい釣具があるって誘っておいてどこ行ったんだよ雷さんはよ。


 デルク:このドワーフ族は魔界宇宙の医療機器メーカー、ニチヨウテクノグループ社長でダイク・ニチヨウ氏。魔界宇宙でも凄腕の釣り師だぜ!


 ???:いや〜、遅くなりました!


 ダイク:師匠を待たせるなんて何考えてんだよアンタは。


 雷蔵:いやはや、スケさんカクさんを撒くのに手間取りまして。


 デルク:この爺さんは雷蔵さん。その正体はなんと、14天界王西洋サイド筆頭のゼウス様だ!この2人については魔王少女物語の342話に出てるぜ♪


 ダイク:そんで、その珍しい釣具ってのは?


 雷蔵:天界宇宙伝説の釣具職人、その名も釣聖ちょうせい。彼が手がけた釣り針がここの福引の目玉になっているんですよ♪


 ダイク:マジか⁉︎


 雷蔵:消費税撤廃記念感謝大売り出しで100ヘブンス以上お買い上げの客に抽選券を配布してるそうですよ。


 ※100ヘブンスは人界日本円で1000円


 ダイク:消費税撤廃ねぇ、それであんなに主婦が集まってやがんのか。国民から搾取した税金で遊び呆けてる神王が多い中で思い切った事したモンだな。で、この国の神王様ってのはどんなヤツだ?


 雷蔵:実は直接会った事ないので分からないのですが、髪は金髪で金色の眼をしており。


 ダイク:ふむふむ、金髪に金色の眼。


 雷蔵:背は神族では珍しい190cmと長身で、胸も神族では珍しい100cm超え。


 ダイク:結構デカいな。


 雷蔵:眼鏡をかけてるとアマテラス殿から聞き及んでおりますな。


 ダイク:なぁ、その神王さんは赤ん坊連れじゃないか?


 雷蔵:おや?ご存知ですかダイちゃん。そうですよ、その神王には生まれて間もない娘がいますよ。


 ダイク:それってあの一際目立つ何故かマントで覆われた母娘じゃねぇか?


 雷蔵:そうそう、丁度あんな感じの・・って、ええっ⁉︎


 虎:そのマントは何?それで死線を超えられるとでもいうのかしら♪


 エリカ:そこはもうタナカでいいじゃない。


 フィローネ:フッフッフ、このマントの下はこの日のために魔界から特注で買ったよ♪


 龍:な、何ですって⁉︎


 エリカ:いやだから、そっちもヨシダで良くね?


 マントを脱ぎ捨てるフィローネとミルフィー


 タナカ:なっ⁉︎


 ヨシダ:何なのその服は⁉︎


 エリカ:あ、名前が戻った。ってかジャージじゃん。


 フィローネ:今魔界宇宙で話題の魔王アリス・シルフィード女王が愛用している普段着、寝巻きにするも良しスポーツするのも良しの万能着。それがジャージよ!


 衝撃を受ける主婦達


 エリカ:いや、ただのジャージだから。てか、今更だけど何で私までバーゲンに駆り出されなきゃいけないわけ?


 フィローネ:月光鶏げっこうけいの卵。


 エリカ:月光鶏?あの遊郭超大国、魁桜国かいおうこくでしか飼育出来ない超高級鶏の?


 フィローネ:そう、市場に出ればワンパック1000万ヘルネスはする庶民では一生手が届かない高級卵が魁桜国のご好意でワンパック50ヘブンスで売られるのよ!それもお一人様1パック! 


 ※1000万ヘルネスは人界日本円で1億円


 エリカ:50ヘブンスって、価格破壊級の大安売りもいいところね。


 店員:お待たせしました、開店のお時間で〜す!


 獲物を狙う野獣の様な表情に変わるフィローネ


 フィローネ:嗚呼、こんなに血が騒ぐのは学生時代の抗争以来だわ♡


 エリカ:やばっ、フィローネがになってる。


 一斉に店内へと駆け込む主婦達


 フィローネ:オラ!道を開けろやゴルァ!


 ミルフィー:か、母さん?


 ダイク:お、俺らも行くか?


 雷蔵:明日の釣りで食べる食材を買えれば良いのでそんなに急がなくても良いのではありませんか?


 ダイク:あの様子じゃ、もやしすら残んないぜ。それにあの神王様は普段からあんな感じなのか?


 雷蔵:いえ、とても礼儀正しい清楚な神王と聞いてましたが。


 秘書:総裁から聞いた話ではフィローネ様は昔天界宇宙で名の通った不良グループの総長だったらしいですよ。なんでも、ドラゴニックマフィアの1つをたった1ひとりで潰した経歴を持つ武闘派だとか。


 ダイク&雷蔵:うそ〜ん。


 ダイク:てか、お前誰だ?


 秘書:申し遅れました、私、黒耀銀行エリカ・カズクラフト総裁の秘書でございます。


 ダイク:そ、そうか。



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