第2話魔王と総裁の事件ファイル
ユリカ:ども!アオイ先輩に代わってこの番組のナレーターをやれせてもらう事になったユリカでっす♪え?アオイさんはどうしたかって?流石にあの人1人じゃ大変でしょ?だから今回からは7つの物語を私とアオイ先輩の2人で分担していきますよ〜♪
天界時間9:58 ローラント王国 王都ユーリア 仮設次元国際空港 領空内
『カントリア王国王族専用艦キングファーム』
地上の様子をモニターで見るラクス
ラクス:天界は災害援助が出来ないほどの経済難と聞いてはいたが、これは酷いでブヒ。
ユリカ:このオークキングのおじ様こそ、魔界宇宙一の農林水産超大国カントリア王国の魔王ラクス・カントリア18世だよ。
近衛兵:こちらも気合を入れて支援しないとですね!
ラクス:うむ。
同時刻 真魔界航空444便
善影:さて、ここからどうやって復興させるかですね。
ユリカ:そんでもってこっちのヴァンパイアのおじ様が魔界宇宙4大メガバンクの1つ『妖魔銀行』の
秘書:総裁よりご依頼のあった件、調べて参りました。
善影:どうでしたか?
秘書:総裁のご賢察の通りでした。旧カレイド王国は天聖銀行より多額の融資を受け、しかも基準値の10倍の金利で貸し付けていました。
善影:やはり、そうなると私の推察通り500年前の時点で既に完済してましたな。
秘書:はい、つまりは1500年に渡る返済期間の内1000年が過払金となります。
善影:その過払金が袋井元代表と黒峰組に流れていた・・・と。
秘書:4界警と天界宇宙金融監督省に協力を要請し調べてもらったところ天聖銀行は旧カレイド王国からの返済金を『二箇所に送金』し続けておりました。
善影:それが『彼等への裏金』というわけですな。
秘書:左様でございます。
善影:国債の発行はしていたのですか?
秘書:いえ、どうやら天聖銀行の前頭取が発行しないようにと釘を刺していたようで。
善影:国債を発行した上に大銀行の融資を受けたとあっては不正融資の疑いがかかり当然天聖銀行にも捜査のメスが入るからそれを危惧しての事でしょう。
機内アナウンスが流れる
アナウンス:真魔界航空444便をご利用いただきありがとうございます。当機は間もなくローラント王国次元国際空港へ向けて着陸体制に入ります。
善影:着きますか。
仮説次元国際空港 国際線ターミナル到着ゲート
フィローネ:お待ち申し上げておりました♪カントリア様、浅倉様。
ラクス:これは!ローラント女王自らの出迎え痛み入るでブヒ。
善影:ご足労をおかけして申し訳ありません。
エリカ:浅倉さん。
善影:エリカさんも来てましたか♪
エリカ:フィローネとは幼馴染ですから♪
フィローネ:それではお城の方へご案内致します。
来賓専用リムジン内
ラクス:成る程、次元エネルギー精製プラントが稼働していないからトランスゲートも使えないわけでブヒか。
善影:精製プラントの復旧工事に関しては問題ありません。魔界から時雲建設グループに依頼しています。
運転手:間も無く到着致します。
『王城応接間』
フィローネ:どうぞこちらへ。
善影:さて、視察は何処から見ていきましょうか。
ラクス:先ずは自給自足が出来んと国の食生活に支障が出るでブヒ。
善影:陛下の仰る通りですね。陛下は何処か気になる場所はありますか?
ラクス:うむ、先ずはここ『豊穣平原』を見てみたいでブヒ♪
フィローネ:次元転移設備が完全に機能していないので早く見たいのであれば今から行かないと暗くなってしまいます。
ラクス:うむ!
天界時間12:00 豊穣平原
ユリカ:ここ豊穣平原はかつて豊穣の女神様の始祖が降り立ち作物に恵まれるようにと願いを込めて出来たものだと言われてるよ♪
ラクス:こっ、これは⁉︎
豊穣平原に生茂る植物に駆け寄るラクス
ラクス:こっちは『天上小麦』の原種『
遠くの動物に駆け寄るラクス
ラクス:このつぶらな瞳、美しい毛並み、弾力のあるこの乳・・・間違いない!天界宇宙乳獣の中で魔界宇宙のカールトンと双璧を成す最高品種の『ミルキィロード』この地は宝の山でブヒ‼︎ちゃんとした施設を建ててこの作物も整備して植え直せば国の食を賄えるだけでなく国の財政難も一気に解消出来るでブヒ!
デバイスを取り出して通話するラクス
ラクス:儂だ、直ぐに『5大組合長』をここに召集せよ!・・・そうだ、今すぐでブヒ!着いたら直ぐに現地の詳細な調査にかかれ、よいな?
ユリカ:5大組合長というのはカントリア王国で一国の大臣と同じ権力を持つ農業、林業、水産業、食品加工業、製材加工業の5つの組合長の事だよ。
通話を切るラクス
ラクス:さて、到着を待ってる間まだ間があるから次は浅倉殿が見たい所へ行くでブヒよ♪
善影:では次元エネルギー精製プラント跡地を見せていただけませんか?
フィローネ:え?彼処はほぼ廃墟で何もありませんよ?
善影:少し気になる事があるので。
フィローネ:そういう事でしたら・・・
魔界時間14:00 次元エネルギー精製プラント跡地
調査員:お待たせしました総裁。
善影:来て早々すみませんが、調査の方お願いします。
調査員:はい!
2時間後・・・
調査員:お待たせしました、これが調査結果の資料になります。
資料に目を通す善影
善影:・・・やはり
ラクス:ん?何が『やはり』なのでブヒ?
善影:いえね、この調査資料と天聖銀行が融資した額が一致しないんですよ。どう考えても融資額の方が多い。いや、『多すぎる』んですよ。
ラクス:儂は農林水産以外は無知でブヒからピンとこない。説明してくれないか?
善影:確かに私だけが理解してはいけませんね、わかりました。
調査隊のテントへ移動する一行
モニターに映す善影
善影:これは天聖銀行が旧カレイド王国に貸し付けた融資額、そして先程調査隊の方々が調べて見積もったこの施設の建設費の予想額です。
ラクス:融資額の10分の1だと⁉︎
善影:ええ、ここまで明らかな不正融資は初めてです。更に調査を進めていただいた結果、この施設は『欠陥』だらけです。
フィローネ:どういう事ですか?
善影:ここ天界、そして私達の魔界、冥界、人界の4つの宇宙で定めた『空間エネルギー精製施設管理法』の建築基準を大きく外れた言わば『違法建築』です。
ラクス:この施設を建てた建設会社は何処でブヒか?
善影:天界宇宙の裏社会を支配する龍神族によって構成されたドラゴニックマフィアの1つ『黒峰組』の表の顔がこの施設を建てた『黒龍建設グループ』です。天聖銀行が天界宇宙中央政府の巨悪の根源、今は亡き
ラクス:で、ではまさか!旧カレイド王国で起こった次元大震災は『
善影:その通りです。施設内には幾つか『不自然な点』が見つかりました。
ラクス:不自然な点?
善影:ええ、この施設、どうやら『最初から暴走するように造られていた』ようです。
ラクス:なんだと⁉︎奴等の目的は何だと言うのでブヒか!
善影:目的は2つ、1つはカントリア王、先程貴方が言ってた『宝の山』そしてもう1つは旧カレイド王国の『国宝』です。
マト:そして1番の狙いはその国宝の方でしょう。ヴェルキリー製造の要となる『コアの素材』それが旧カレイド王国の国宝。
善影:君も来ていましたか。
マト:ここでの用事は終わりました。地獄に人を待たせてあるので直ぐに帰ります。
ユリカ:この男か女か分かんないような奴は魔界宇宙最強の女検事の相棒で何でも屋のマト・ソーヤね。
善影:そうですか。
マト:では失礼。
善影:ご苦労様でした。
ラクス:略奪のために故意に災害を引き起こすとは許せんでブヒ!
善影:ええ、黒峰隆二以下黒峰組幹部は捕らえられましたが、黒峰組の息の根を止めるためには『4界宇宙大法廷』で裁かれなければならない。その『証拠』を探すため私はここに来たのですから。
ラクス:そうであったか。
近衛兵:国王陛下!
ラクス:む?何事か?
近衛兵:バンクフルト合衆国のギリウス・G・バンクフルト大統領閣下、並びにシャークハルト共和国のレオナルド・シャークハルト大統領閣下がこちらに向かってるとの事!
ラクス:うむ、一度皆と話し合わねばならんでブヒな。
善影:では私は一足先に戻って弁護士と共に過払金請求訴訟の準備にかかります。
フィローネ:あ、あの!
ラクス:ん?
善影:何ですかな?
フィローネ:ありがとうございます!
善影:その言葉、この国の皆さんが笑顔を取り戻してからにして下さい♪
ラクス:そうでブヒ、儂ら魔族にとって心のこもった『ありがとう』は最高の報酬でブヒからな♪
フィローネ:はい!
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