健康な身体には健全な精神が宿るってウソだったの?(元ネタ:京都大学アメフト部レイプ事件より)

時は師走しわす。街はクリスマスイブの

ムード一色いっしょくに染まっていた宵の口。

マンションの一室で京宝大学きょうほうだいがくアメリカンフットボール部

(チーム名・京宝大学アルティメットドリーム)に

所属している部員3名と女子学生2名がクリスマスイブを祝う

焼肉パーティと題して集まっていた。

このアメフト部の部員の名前を3人の中で

リーダー格の荒木成あらきまこと(ニックネームはアラー)

もう一人は葛城芳柾くずきよしまさ(ニックネームはクッキー)

もう一人が鳥山道雄とりやまみちお(ニックネームはミッチー)

女子大生2人の内、ストレートのロングヘアが

佐野幸恵さのゆきえ

髪をショートにしているのが緑井則子みどりいのりこである。

最初は、談笑しながら用意されていた特上の

ロースやカルビ、タンやホルモンなどをカセットボンベを

利用した卓上コンロを使って焼肉用の金網で

焼いて食べて盛り上がった。女子学生の方も

自分らは普段、自腹では出来ない焼肉を

無料で好きなだけ食べれるという滅多に無い事だけあって、

遠慮なく食べ捲り、ビールを喉に流し込む。

飲食を終えて場がある程度、盛り上がった所で

アラーが唱え出した。

「では、焼酎ルーレットやるか?」

「しょうちゅうルーレット?」

女の子2人は不思議そうな顔で反応する。

焼酎ルーレットとは、玩具のルーレットを回して

それを外したりすると罰ゲームとして、アルコール度数の高い

お酒を完全にへべれけに酔った泥酔状態になるまで飲ませるという

お酒の苦手な人によっては出来れば関わりたくは無い遊びである。

無論、このルーレットには主催者がイカサマしやすい様に

細工がしてあり、あらかじめ当事者たちに番号を割り振ってある。

そのため男子3名には、そのルーレットの不都合な番号が出にくくしてあるのだ。


そして最初のゲームが行われた。

男子は偶数、女子は奇数に設定して行った。

それでルーレットを回す。そしてそのルーレットの目は偶数の赤で出た。

そして罰ゲームとしてルーレットを外した女の子は、

アルコール度数の高いお酒を飲む事になった。

そこで女の子が選んだのはまだ比較的に度数の低いウイスキーにした。

それを一気飲みさせられる。

これに味を占めたアラーは細工してあったルーレットを巧みに使い

女の子が必ず罰ゲームで飲酒する様に仕向けた。

そこで女の子たちが飲酒による半覚醒状態に及んだと判ると

そこで更に完全な前後不覚にしてやろうと複数のアルコール度数の

高い酒を上手くブレンドしたモノをルーレットの度に与え続けた。


それによって女の子2人は完全に前後不覚になった。

そこでミッチーとクッキーがどうするかと逡巡すると

「なら、みんなでやればいいじゃん。」

などとアラーは言った。

そしてミッチーとクッキーは則子を2人がかりで押さえつけて犯し、

アラーは幸恵を自分の好みの美貌と見たのか自身が手ごめにした。

こうして3名による集団強姦が行われたのである。


そして年が明けて1月の下旬に被害女性2名の告訴を受けて

警察は京宝大学の学生であるアラー(当時23、農学部)と

クッキー(当時22、工学部)、ミッチー(当時22、経済学部)を

則子に対する集団準強姦と疑いで逮捕・起訴した。

またアラーを幸恵に対する集団準強姦および準強姦致傷で逮捕・起訴した。

これを受けて京宝大学では、3月23日付で

アラー・クッキー・ミッチーの3人を放学処分にした

尚、京宝大学アルティメットドリームは翌年春の大会の出場を辞退したが、

秋季のリーグ戦には出場し優勝し汚名を晴らした。


公判では「なら、みんなでやればいいじゃん。」の発言をめぐり、

犯行に計画性があったか否かで検察と弁護側が対立した。

8月28日の公判では検察側は「重い刑を求める」旨の

被害者の意見陳述書を読み上げた上で、

「酩酊状態に乗じて、被害者の人格、人権を無視した卑劣極まりない犯行」と

断罪。アラーに懲役8年、クッキーに懲役5年、ミッチーに懲役4年を求刑した。

これに対し弁護側はあくまで犯行はパーティーの延長にあったものとして、

事件の計画性を否定し情状酌量を求めた上で執行猶予を求めた。


9月26日、地方裁判所裁判長はアラーに懲役5年6ヶ月の実刑判決、

クッキー・ミッチーにそれぞれ懲役3年執行猶予5年、

懲役2年6カ月執行猶予5年の有罪判決を言い渡した。

裁判長はクッキー・ミッチーに対し

「自己の性的欲求を満たすための犯行」と非難し、

アラーに対し「(他の2人に比して)その刑事責任は格段に重い」と

3年を超える実刑にした理由を説明した。

その一方で「焼肉パーティーを計画した時点では

犯行の意図はなかった」と計画性を否定し

「3人とも放校されたうえ就職の内定を取り消され、

大きな社会的制裁を受けている」と

指摘し「3人とも若く能力も持っている。

ゼロから出発して欲しい」と説諭した。


自分だけ執行猶予が無かったアラーは

不服を唱えて高等裁判所に控訴した。

第1回公判が翌年4月27日に開かれたが弁護側は

「女子学生の意識は朦朧とはしていなかった。

合意があったか、合意があると思い込んだ」として

強姦したという起訴事実を全面否定。

さらに、一審で供述調書の十分な開示を行わず

訴訟手続き上違法に当たると主張した。


その年の7月18日、高等裁判所の裁判長は

「女性の人格を無視した自分勝手で悪質な犯行だが、

泥酔していた被害女性らの言動が

被告らの犯行を誘発したことも否定できない」として、

原判決を破棄し、アラーに懲役4年6ヶ月の実刑判決を言い渡した。

しかし、アラーは再度の実刑判決を

不服として最高裁判所に上告した。


同年11月12日、最高裁判所第三小法廷の裁判長は

アラーの上告を棄却し、全ての判決が確定した。


そしてそれからしばらく経ったある日、

裁判での判決の確定から、かなり老けた感じのする男が

如何にも残念そうな表情で、刑務所に収監されて行く姿があった。

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