第11話 ホタル

画期的な新薬が開発された。

その薬を飲むと、ガンの部位が光るのだ。

しかも、進行具合がひどければひどいほど明るく光る。

その効果は、数時間で消える、体から排出されるためだ。


オー氏も、健康診断で薦められて、その薬を飲んでみた。

すると、肝臓のあたりが、ぼーっと明るく光った。

「早速、精密検査をしてみましょう」

検査、入院、手術、と、考える間もなく進んでいった。

それにしても、こんなに簡単に癌が見つかって、しかも、こんなに簡単に手術まで済んで、こんなに健康だとは。



ある手術室にて、

「それにしても、いくら生体臓器移植が進まないからって、こんなことして大丈夫なんですか」

「いいから、早くその肝臓をこちらによこしてくれ」



<了>

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