第3話 いるのは、わかってるぞ
彼は、自分の家に帰って扉を開ける前に必ず、「いるのは、わかってるぞ」と言う。
以前、帰ってきた自分の部屋で泥棒と鉢合わせしたことがあると、知り合いに聞いてからの習慣である。
出張に行ったホテルでも同じことで、「いるのは、わかってるぞ」と言って、鍵を開けようとしたら、がさっと音がした。
鍵を開けようとした手が止まった。
確かに音がしたような気がする。
部屋を間違えたかと思って、キーの付いたプレートを確認したが、部屋の番号は合っている。
彼は、ゴクリと生唾を飲み込むと、もう一度、「いるのは、わかってるぞ」と言った。
確かにガサゴソ音がしているようだ。
彼は、思い切ってドアを開けてみた。
ドン、ドン、ドン
「おい!開けろ!いるのはわかってるんだぞ!」
ハッと、我に返った彼は、また、ライフルに弾を込めると、通行人に向かって撃ち始めた。
<了>
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録(無料)
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます