第13話 新鮮さが命 鮮魚店「イトウ」

 アニーマーケットにある鮮魚店「イトウ」

入店してまず目に飛び込んでくるのはおいしそうなお寿司の数々。

いなり寿司、海鮮チラシ、鯖寿司、サーモンの握りとサーモンの巻き寿司。


 一押しなのはマグロのトロが入った10貫の握り寿司。

新鮮な魚を市場で仕入れて店の中で手作りで作ったものなのでおいしくないわけがない。

酢飯の甘酸っぱさと脂ののった寿司ネタが何とも言えない旨さ。


 さらに予約すれば30貫~50貫の特大寿司も注文できる。

値段により中、上、特上、極上とどんどん寿司ネタのランクが上がっていく。

一番上の極上はうなぎ、うに、トロ等の寿司が惜しみなく盛られている。


「いいわよねお寿司。

 私大好き。」


「俺もよく食べるぜ。

 いなり寿司とか巻き寿司とかだけど。」


「握り寿司高いもんね。

 でもたまに食べたくなるからアバターで変装してこっそり買いに行ってしまうわ。」


形にこだわることがなければ握り寿司よりも海鮮チラシのほうがおすすめだ。

同じ値段であっても、寿司ネタの量がチラシ寿司のほうが上である。

卵のきめ細やかな錦糸玉子も綺麗なので、こだわらないのであればこちらをおすすめする。


「けど私サビ抜きのほうがいいわ。

 辛子とかなら平気なんだけど、ワサビってちょっと苦手。」


「俺は付けないと物足りないぞ。

 あの鼻にツンとくる感覚がいいのに。」


サビは中に入っておらず、容器の淵に醤油の入った袋の隣の袋に入っている。

サビ嫌いな人や小さな子どもでも安心して食べることができるのだ。


 お寿司の他にも様々な新鮮な魚介類がある。

鯛、鱈、秋刀魚、ハタハタ、アサリ、シジミ、ハマグリ、岩ガキ、わかめ、めかぶ、鮎、メバル、ブリ。

そのほかにもうなぎ、かれい、たこ、いくら、いか、ほたて、つぶがい、鱧、鯖、鯵が並んでいる。


 他にも鮭の塩焼き、鯖の塩焼き、鯖の煮つけ、イカナゴのくぎ煮、カレイの煮つけ、明太子、ちりめん、ホッケの開き、鯵の開きなどの加工品もある。


 ウエルカムサービスは焼いたスルメイカの切り身や刺身等である。

日によって違うので気になる方は当店に来て確かめよう。

数量限定なので欲しい方はお早めに。

アニーカードの携帯を忘れずに。


 さらにお店の人に頼めば魚の調理をしてくれる。

ウロコやエラ取り、内臓部分の除去、二枚おろしや三枚おろし。

さらに開きや切り身もやってもらえる。

刺身用の短冊切りも可能だ。

ただし魚によっては有料のものもあるためお店の人と確認してみよう。


 串に盛られた海鮮バーベキュー用のものも見逃せない。

つぶ貝、イイダコ、ホタテ、鱧、サーモン、マグロ、イカ、エビなど種類も豊富だ。


「バーベキュー。

 いいわよね。

 みんなで集まってわいわいできるし。

 お酒もあれば最高の気分だわ。」


「貝に醤油入れたときにジュウジュウ鳴る音が気持ちいいぜ。」


さて、魚はとてもおいしいが、お寿司やお造りなどの料理はその日中に食べないとダメになってしまう。

売れ残った商品をどうするか。

通常であれば捨てるしかない。

鮮魚店の店長はアニーと相談した。

その結果、売れ残りのものは夜の試食会に出されることとなる。


「お寿司なんておいしいのにそのまま捨てるなんてもったいないわ。」


「全くだ。

 いくらやうにみたいな高級食材を他の売れ残りの商品と一緒に捨てていたなんて。

 本当に残念な話だったよな。」


この寿司と刺身は和食コーナーの名物であり、これを目当てに夜の試食会に参加するものが続出している。

この夜の試食会で味を占めて魚屋にこの味を買い求める客が増えたとか。


「捨てる量が減って本当によかったわ。」


「恵方巻とか前は山のように捨てられてたからな。」


恵方巻は節分の縁起ものであるが、他の店でも当然作られる。

結果、売れ残ったものが山のように捨てられていた。

恵方巻の売れ残りは例年ニュースで取り上げられるほど大きな問題である。

しかし今年は夜の試食会でなんとかすべて客に食べてもらうことができたのである。

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