後日談 二人のエピローグ

第149話 追跡開始―珠side―

「じゃ、行ってくるよ」


「行ってらっしゃい、お兄ちゃん。高嶺お姉さんとのデート、楽しんできてね!」


「う、うん!」


(……はぁ、お兄ちゃん行っちゃった。

 今日はお兄ちゃんと高嶺お姉さんのデートの日。アリオヤで映画を観るんだって言ってた。

 しかし、二人とも本当に仲が良いなぁ。夏祭りの日、無事に実ったらしいけど……それから、まだ一週間も経ってないのにデートだよ!? 学校でも毎日会ってるってのに……ラブラブ過ぎるよ!)


「お兄ちゃんが出てってしばらく経ったし……そろそろ、始めようっと」


(ふふん。お兄ちゃん、私が気分よく高嶺お姉さんとのデートを見送ったと思ってるでしょ? でも、残念でした~。全部作戦だったんだよ。お兄ちゃんと高嶺お姉さんのデートを追跡するためのね!

 今日は家にお母さんがいないから、しっかりと鍵をかけて忘れ物がないか確認して――お財布と連絡用の携帯、それと……変装用のサングラス!

 うん、完璧!

 じゃ、追跡開始だ!)


「お兄ちゃん変なところで勘が働く時があるからなぁ……サングラスでしっかり変装しないと」


(確か、今日はバスに乗ってアリオヤまで行くって言ってたしバス停まで急ごう!)



「あ、いた。お兄ちゃんと高嶺お姉さんだ」


(二人に見つからないように陰に隠れて……こっそりと見守って――って、二人とも早速ニヤニヤしちゃってるし……羨ましい……。

 私だってお兄ちゃんとデートしたいよ。

 でも、私とお兄ちゃんだとどうやっても本当のデートって出来ないしな……嫌だけど、高嶺お姉さんに任せるしかないんだよね。

 ……にしても、高嶺お姉さん本当に可愛いなぁ。ピンク色のトップスに水色の長めのスカートっていう結構ラフな格好なのに着こなしてるんだもんね。流石、美少女だよ!

 通りすぎる男の人も女の人も皆チラチラ見ていくしお兄ちゃんしっかりと――)


「……んん? 誰、あれ?」


(全身黒ずくめで私と同じ様なサングラスをかけている金髪? お兄ちゃんと高嶺お姉さんのことスッゴく見てる? 間に人がいるから確かじゃないけど……あ、やっぱり、見てる! ずっと、二人を見続けてる!

 どうしよう……不審者さんだ!

 つ、通報した方がいいのかな……? で、でも、通報したら私がスパイみたいなことしてるってお兄ちゃんに知られて怒られるかもしれないし……でも、二人のデートの邪魔はしてほしくないし……どうしたらいいの!?)


「ああ、悩んでるうちにバスきちゃった!」


(お兄ちゃんと高嶺お姉さんが乗り込んで後ろの方に……それから、いっぱい人が乗ってあの不審者さんも乗って……)


「ああ、待って。私も乗る!」


(はぁ~危ない危ない。もうちょっとでバスが出ちゃうところだった。

 ……うん、お兄ちゃん達は楽しそうに話してるからバレてない。良かった。

 それで、不審者さんは……やっぱり、二人を見てる。でも、近すぎず微妙な距離でバレないようにして……プロの人なのかな!?

 ……っ、プロ相手に私がどこまで戦えるか分からないけど……安心してお兄ちゃん。私が何とかして二人のデートを見守りつつ守ってあげるからね!

 勝負だよ! 不審者さん!)

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