第148話 これからも一緒に

「――これで、分かったでしょ? 思井くんは私の足のことを考えておんぶしてくれて――って、お姉ちゃんどうしたの!? 机に突っ伏して……頭から湯気も出てるよ!? 大丈夫!?」


「い、いえ、大丈夫ではないのです……」


「は、吐いちゃうの? と、トイレまで連れて行こうか?」


「は、吐いたりなどはしません」


「じゃあ、どうしたの?」


「うう……」


「うう?」


「羨ましいのですうぅぅぅ!」


「キャッ……び、ビックリした。お姉ちゃん、いきなり大きな声を出して驚かせないで」


「そんなこと言われたって……言われたって! 思井くんが羨ましいのです! 私じゃ絶対になれない氷華の彼氏になれて……氷華からそんなにも愛されていて……おまけに、堂々とイチャイチャ出来るなんて……羨ましいのです!」


(お、お姉ちゃんが壊れた!?)


「うぅ……うぅ……どうして、私は女に生まれてしまったのでしょう。男なら氷華とあんなことやこんなことが出来たというのに……神様なんて大嫌いなのです!」


(お姉ちゃんが怖い。そもそも、お姉ちゃんが男だった場合、絶対嫌ってる。お姉ちゃんが女だからくっつかれてもまだ許せてるけど……男だったらひっぱたいています!)


「あぁ、思井くんが羨ましい……羨ましい……――」


(あ、お姉ちゃん寝ちゃった。多分、酔ってたから正常な考えが出来てなかっ……ううん、いつも通りだよね)


「そ、そうだ。思井くんにメッセージと写真を送らないと!」


(【きょ、今日は本当に色々とありがとうございました。また、明日、学校で会いましょうね。おやすみなさい】

 ……うん、これで大丈夫ですね。

 思井くんとのやり取りはどこか可笑しな箇所がないか何回も見直すからやっぱり時間がかかってしまいます)


「あとは写真を送って……思井くんとの写真――」


(思井くんと手を繋いでいる写真……嬉しい。待ち受けにしましょう)


「お、思井くんから返事が!」


【ありがとう、高嶺さん。好きだよ】


「!? な、なな、どうしていきなり……」


(ず、ズルいです! こんなの……嬉しいに決まってるじゃないですか!)


「……は! 画面とにらめっこしていないで返事を送らないと!

 ……好き。思井くんから好き――」


(……ダメです。冷静に考えられません)


【私もです。私も思井くんのことが好きです】


(と、とりあえず、私も思井くんが好きだと送りましたけど……いきなり、好きだなんて……不意討ち過ぎです!

 顔が火照ってしまいました……。落ち着くためにも部屋に戻――)


「ううん……氷華ぁ~。おめでとう、なのです……。幸せに――」


(……お姉ちゃん。寝言でも私を……)


「……ありがとう、お姉ちゃん」


(……悔しそうな顔してなかったら、大好きって言ってたよ。

 廊下に出たら思井くんからメッセージが)


【これからも、よろしくね――!】


「……ふふ、それは、こちらのセリフです。思井くん、これからも、一緒にいてくださいね……好きです……!」


(~~~っ、思井くんの写真に向かってキスだなんて……私はなんてバカなことを……。だ、誰にも見られてなくて良かったです!)

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る