第145話 続・好き―高嶺さんside―

(思井くんは私を悲しませたくないから、私の気持ちに応えられないと言った。

 その気持ちは嬉しい……でも、そんなこと関係ありません! 思井くんとケンカした時は本当に悲しかった……けど、思井くんを好きって気持ちは変わりませんでしたから!

 私は思井くんに一緒にいれば関係ないと伝えた。だって、好きだからと伝えた。


 思井くんの気持ちは本当に嬉しい。だって、それだけ私のことを想ってくれているということだから。

 でも、それで結ばれないのは嫌です!

 完璧な人間なんてこの世にいない。思井くんが私を悲しませないようにしても、私が勝手に傷つくことがあります。逆に、私が思井くんを傷つけることもあります。

 今だって、私のせいで思井くんは悲しんでいる……違いますか?

 そう確認すると思井くんは答えた。私が望むような応えを出せなくて申し訳ないと思ってると。


 思井くんを悲しませているのは私。なのに、思井くんはそんな私のために悲しんでくれている……そーいう、あなたのことが好きなんです!

 だから、私は言った。私だって思井くんを悲しませるから思井くんだって私を悲しませていいのだと。本当に悲しくなったら……その時は二人で考えればいいと。こ、恋人になったらそれくらい乗り越える力が必要だと。

 だ、だって、恋人になっても色々な試練ってありますもんね! 両親への挨拶とか……色々――。


 そして、私はズルいことだと分かっていながら思井くんに言った。断られたら一番悲しむと……!

 こう言えば思井くんは断らないだろうと……少し、強制的な気もしたけどもう一押しするために私は思井くんの手を離した。そして、思井くんから離れてくるりと振り返った。

 今言うべきなのは私の素直な気持ち。何も隠さない……遠回しな言い方もしない。ただ、一言。その言葉だけを口にする――。

 私を思井くんのか、彼女に……してください!)

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