第133話 浴衣、下着は外す

(日に日に思井くんへの想いを強くしながら過ごし、今日はいよいよ約束していた日になった。

 夕方、私はママに頼んで浴衣を着させてもらっていた。浴衣はママが昔着ていたものだけど、私にもよく似合うとママとお姉ちゃんが言ってくれて決めた。因みに、パパは禁制ということで部屋から追い出した。


『う~ん、私の娘ながら……似合いすぎるわね』

『当然なのです! 何故ですかって? 私の妹だからなのです!』

『はいはい。私の娘で水華の妹……それ、全部同じ意味だからね』

 ママとお姉ちゃんはそんな会話をしながら、私のことを着せ替え人形のように扱っていく。

 そして、衝撃的な発言がとんできた。


『はい、下着外して』

 その言葉を聞いた途端、お姉ちゃんはぶっ倒れた。

 私も倒れそうになるのをなんとか堪えて理由を聞いた。

 すると、当然のように言われた。


『氷華くらいの大きさだと、下着つけてる方が逆に目立っちゃうのよ。だから、少し変な感じだろうけど外した方がいいのよ。あ、もちろんパンツは履いてるのよ?』

 私はガッカリしながら、恥ずかしい葛藤と戦いながら大人しく下着を外した。

 うぅぅ、恥ずかしい……。それに、思井くんとお祭りデートなのに、下着をつけてないなんて……変態だよ。


『……うん、ちゃんと可愛いから安心してね。頑張ってドキドキさせるのよ。なんなら、今日は帰ってこなくても……って、それは、ダメね。明日から学校なんだし。あんまり、誘惑しないようにしないとね』

 私はボッと顔が熱くなるのが分かった。

 これで、思井くんを誘惑すれば告白して……って、ダメダメ。そーいうのはもっと大人になってから……でも――。

 ママの言葉が頭の中をグルグル回る。

 考えないようにしようとしても、どうしても考えてしまって――。


『あ、そろそろ出る時間じゃない?』

 そう言われてハッとした。時間はまだ六時。だけど、この前も思井くんは待っていてくれたから今日も早く着いているかもと思い家を出ると決めた。


『ひょ、氷華……頑張ってきてくださいね。私はもう、無理そうですので……』

『よく似合っているよ、氷華。しかし、氷華も遂に私以外の男の人と……』

『泣かないでよ、あなた。せっかく、娘が頑張ってくるんだから。楽しんできてね、氷華』

 私は優しい家族に見送られるように家を出た。なんだか、少し大袈裟で……まるで、花婿に娘を出すような見送り方にこそばゆさを覚えた。

 私は元気に行ってきますと言って、思井くんとの待ち合わせ場所に向かった。)

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