第132話 プール振り返り・終
「――プールはこんな感じで終わったんだけど……どうしたの、お姉ちゃん?」
「……いえ、ちょっと次思井くんに会った時にどう八つ裂きにしようか考えているのです」
「なんで!?」
「だって、彼はその日、氷華のバストを堪能したのでしょう!? 私だってしてないのに!」
「た、堪能とか……い、言わないで……!」
「それに、今日もです。今、浴衣の下で氷華の可愛らしいバストは無防備なのですよ!? それなのに彼は……そんな氷華をおんぶという理由で背負って、背中で堪能していたのです! 許せません!」
「ち、違うよ! 思井くんは私を心配してくれて……それに、多分気づいてないよ……私くらいの大きさじゃ微妙だもん……」
「そうなのですか? では、少し触って確かめて――」
「叩くよ、お姉ちゃん!」
「じょ、冗談なのですよ」
「お姉ちゃんの手の動き気持ち悪いよ。それに、酔ってるからなんだか変態のおじさんみたいだよ」
「お、おじ……それは、流石に傷つくのです……私だって、ちゃんと女の子なのですよ?」
「じゃあ、そろそろいい人とか気になる人とかいないの?」
「そんな人、必要ありません! 氷華さえいればいいのですから!」
「はぁ……お姉ちゃん。いつまでも私と一緒にいられると思ったら大間違いだからね?」
「え? いますよ?」
(……これは、酔ってるからなのか分からないけど……全く、汚れきっていない澄んだ目で当然のように答えてる。やっぱり、どうにかしないと……)
「ところで、一つ気になっていたことがあるのですが。プールの日の夜、やけに氷華の部屋から何かの音が聞こえてきたのですが何をしていたのですか?」
「えっ!?」
「何やら聞き慣れないような音だった気がしますが……何だったのですか?」
「べ、別に何でもないよ! さ、作戦を考えてただけ! 決意を成功させるための!」
「そうなのですか?」
(……い、言えません。ベッドで横になりながら思井くんとの写真を眺めてのたうち回っていたなんて……恥ずかしい)
「それで、氷華の決意とやらは上手くいったのですか? まぁ、その幸せそうな表情を見る限り上手くいったのは分かりますが」
「そ、そうだね。結果としては、上手くいったけどい、意味はなかったかな」
「そうなのですか? やはり、思井くんには痛い目を見てもらわないといけませんね。氷華の決意をなんだと思っているのやら……ケプッ!」
「思井くんに手を出したらダメだからね! 思井くんは何も知らないんだから。……そ、それに、私と思井くんは――」
「氷華~早く、続きを話してほしいのです~」
(机を駄々をこねる子どもみたいに叩いて催促……本格的に酔いがまわってきたのかな? こうなったお姉ちゃんはメンドクサイし早く話して部屋に戻ろう)
「じゃあ、今日のことだけど話すよ?」
「は~い」
「まずは――」
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