第127話 心配ご無用とする心配

(外の方には滑り台や飛び込みなどのアクション系が多い中、私はある場所に目を奪われていた。それは、ウォータースライダー。情報を調べていたとはいえ、ウォータースライダーがあるとは知らなかった私はある考えに至った。一緒に滑ると今までにないくらい密着出来るのではないかと。

 私は思井くんと写真を撮れたことや連絡先を交換出来たことに舞い上がり変な自信があったのだ。だから、思井くんをウォータースライダーに誘った。けど、思井くんは私と密着することに抵抗があるようだった。私は気にしないと伝えると益々言いづらそうにしながらぽ、ポロリするかもしれないと口にした。

 しかし、それこそ心配ご無用だった。

 だって、私はポロリするほどお胸がない残念でぺったんなのだから……。

 落ち込んでいる私を見た思井くんは了承してくれたようでウォータースライダーを滑ることになった。


 長蛇の列に並んでいると度々女性の叫び声が聞こえてきた。おそらく、水の勢いに負けて水着が流されたのだろう。

 羨ましい……! そんな大きなものをぶら下げているからですよ! 思い知りましたか!

 などと、敗者の負け惜しみを並べていると前に並ぶ幾つものカップルの彼氏さんの方が目をギラギラとさせながら周囲を見渡すように首を動かしていた。私はなんて見境のないことだと呆れながら思井くんを見つめた。思井くんはそんなことしないと思いつつももしかしたら……と、不安になったからだ。

 だけど、思井くんはポロリなんて見たくないと言ってくれて安心した。やっぱり、思井くんはそこらの男性とは違うんだなと思いつつ一応ジッと見つめ続けた。

 思井くんだって男の子……反応するときは反応しても仕方がない。だけど、相手は私がいい。他の人なんかに反応してほしくない。

 戦場にも立てない私はそんなことを考えながら順番が来るまで思井くんを見つめ続けた)

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る