第126話 怒るよりドキドキと写真と交換
(更衣室に戻り、ロッカーからお金とスマホを入れた防水カバンを出している間も心臓はうるさくしていた。一人になると思井くんの顔を思い出して爆発しそうになる。早く会って少しでも気持ちを静めなければと思った。
だけど、思井くんと歩いている時も私の頭の中はさっきのことでいっぱいで正常な考えが出来ていなかった。
そんな私を見て思井くんは怒っているのだと思ってまた謝ってきた。私は怒ってなどいない。本当にドキドキしているだけだったのだ。それを伝えると思井くんは怒るのが普通だと言った。
私だって思井くん以外の人からされそうになると怒る。だけど、思井くんが相手だから……思井くんだから、そのまましてもいいと思ったのだ。
それを伝えると思井くんはまた申し訳なさそうにした。
……と言うか、思井くんは私としたくなかったのですか!? そんなに落ち込まれると私が気にします!
私が少しだけ強く言うと思井くんはようやく納得してくれた。
軽く食事をしていると思井くんが私のパーカー姿も似合ってると言ってくれた。私はお姉ちゃんから言われた意味を理解していなかったが思井くんからそう言われただけで気にもならなかった。
……って、喜んでちゃダメ。言わなきゃ……今すぐ……!
私は思井くんを呼んだ。
すると、思井くんも私を呼ぼうとしていてくれたらしくハモってしまった。お互いに譲りあっていると思井くんからレディーファーストという言葉が発せられた。ちゃんと私を女の子として見ていてくれているのだと思って私は嬉しくなった。そして、思いきって言った。写真を撮りたいこととラインメッセの交換をしたいのだと。
私は精一杯の笑顔を作って思井くんとの写真を撮った。これが、二人での初めての写真。だから、可愛く写りたかった。
ふふふ……これで、思井くんと会えない日も思井くんを見ることが出来る……!
綺麗に撮れた写真を見ながら私はニヤニヤを我慢した。そして、ラインメッセの交換をした。私のスマホ画面に思井くんのアイコンが現れ友達に追加した。私の連絡先は家族だけしかなかった。だから、家族以外の初めての連絡先が思井くんだということに我慢できなかったんだと思う。ニヤニヤを止めることが出来なかった。
私は笑っていることが分かっていたからスマホで口を隠しながら思井くんが言おうとしていたことを確認した。すると、思井くんも私とラインメッセの交換をしたいと思ってくれていたようで……同じ考えだったことが嬉しくてたまらなかった)
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます