第123話 壁側―高嶺さんside―

(私が無事に女性達を撃退し、思井くんの安否を確認した。すると、思井くんは申し訳なさそうにしていた。

 だけど、私は分かっている。思井くんは優しいからあの女性達を傷つけないように強く言えなかったんだと。しかし、それを確認すると思井くんは何故かしどろもどろにしていた。

 えっ……ま、まさか、あの二人のお胸が大きくて断れなかったんですか!? だとしたら、私泣いちゃいます!

 でも、その不安は違った。私はホッと胸を撫で下ろした。

 だけど、断ろうとした時に私を「友達」と呼んでいたと知って少しだけ悲しくなった。


 しかし、「友達」呼びは仕方がない。だって、今は友達なのだから……と、私が納得するようにしているとある違和感に気づいた。思井くんが私と目を合わせてくれないのだ。私は体調が良くないのかと心配したが、思井くんは元気だと答える。じゃあ、どうして?

 すると、思井くんは私の水着姿が可愛くてどうすればいいのか分からないと言ってくれた。私は全身が熱くなっていくのを感じた。ちゃんと私を見て、ドキドキしてくれたんだ……と、恥ずかしいけど嬉しくなった。


 プールに向かう途中、思井くんとの会話に夢中になっていた私は知らない方と肩をぶつけてよろけてしまった。私が悪いのに思井くんは心配してくれる。その優しさが一々嬉しかった。

 そして、自分が通路側を歩くからと言って私を壁側の方に寄せてくれた。だけど、それは悪い。私が気をつければいいだけの話。だから、断ろうとした。だけど、私は耳を疑った。思井くんは私の水着姿を他の人に見せたくないと言ってくれたのだ。私は喜びながら大人しく壁側の方を歩いた。


 私は思井くんが私を独り占めしたい……と、思ってくれているのがとても嬉しかった。でも、思井くんは私が悪く思っていると考えたようで自分を傷つけるような言葉を言っていた。

 でも、私は本当にそんなこと思っていなかった。むしろ、私は思井くんが好きだから……早く、独り占めしてほしいと思っていた。それに、私だって思井くんを独り占めしたいと考えていて……少し、図々しいかなとも思った。


 私も思井くんもなんだか恥ずかしくなり、プールに向かった。私はプールでは、思井くんに密着しようと考えていた。そうすれば、一段とドキドキさせることが出来るし……何より、私が思井くんに触れたいと考えていたから……――。

 神様! プールという自然に距離が近づく場所を作ってくれてありがとうございます! 私、頑張ります!)

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