第105話 妹でも可愛いものは可愛い
「お兄ちゃ~ん!」
「ぐふっ。た、珠……そんなに強く抱きつかれると苦しいんだけど……どうしたの?」
「お金なくなっちゃった。だから、ちょーだい!」
「はぁ……あんまり、無駄遣いしちゃダメだよ? はい、千円」
「ありがとー、お兄ちゃん大好き! ヒシッ!」
「はいはい……。全部使わないで残しとくんだよ。お母さん怒るから」
「分かってるよー。あ、高嶺お姉さん。こんばんは!」
「こ、こんばんは、珠ちゃん!」
「ジーーー……。高嶺お姉さん、何をうじうじしてるんですか?」
「えっ!? そんなことは……」
「ははぁ~。高嶺お姉さんもお兄ちゃんに抱きつきたいんですね」
「……っ!」
「お、おい、珠。何を言って……」
「でも、ダメでーす。ここは、私のポジションですから! どうですか? 羨ましいですか?」
「うぅぅぅ……」
「珠ちゃーん!」
「あ、ほ、ほら。友達が呼んでるよ?」
「本当だ。じゃあ、私行くね。お兄ちゃん、お金ありがとう!
あ、高嶺お姉さん。その浴衣似合っててとっても可愛いですね! じゃ、お兄ちゃんをよろしくお願いしますね!」
「気をつけてあんまり遅くならないうちに帰るんだよーーー!」
「分かってるーーー!」
(はぁ、我が妹ながら凄まじい行動力。友達も僕より多いし……お兄ちゃん悲しい!)
「ゴメンね、高嶺さん。珠が変なこと言って……。家に帰ったらよく言っておくよ。……高嶺さん?」
「……は! た、珠ちゃんの浴衣姿も可愛いですね。赤色、珠ちゃんにとっても似合ってました!」
「そう、なのかな? 妹だからよく分かんないや」
「ふふ、妹であっても可愛いければ可愛いと言ってあげた方がいいですよ。珠ちゃん、思井くんのことが大好きだから喜んでくれるはずです」
「そうだね。帰ったら言ってみるよ」
「そろそろ移動を始めてくださーい! もう少しで花火が上がりまーす!」
「一斉に人が動き出しましたね……」
「僕達も行こっか」
「はい」
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