第104話 勝負の結果ですから

(缶ジュース一本……これなら、かかっても百円程度。高嶺さんにも迷惑はかからないはず!

 いやぁ、僕、冴えてる!)


「……思井くん。それ、本気で言ってます?」


(あ、あれ……なんか、呆れられてる?)


「う、うん……」


「……はぁぁぁ、思井くん。もっと、何かあるはずです。缶ジュースだなんて……ちっぽけ過ぎます!」


(えっ……で、でも、缶ジュース以外だと……わたあめ? たこせん?)


「う~ん……」


「そ、そこまで悩まないといけませんか? なんでもいいんですよ。なんでも」


(と、言われましても……この屋台の中に僕がめちゃくちゃ食べたい! って思うものはないんだよね)


「た、例えばですよ? これは、ほんの例えですから参考までにしてほしいんですけど……み、耳をかしてください」


(なんだろう……?)


「……た、例えば……ゆ、浴衣の下には本当に下着をつけないのか確認させて……こ、こんなのでもいいんですよ?」


「ぶふぅぅぅぅーーーっ!」


(た、高嶺さん……何を……)


「お、思井くんが嬉しくなること、且つ、わ、私に出来ることならなんでもいいんですよ……しょ、勝負の結果ですから……!」


(い……やいやいやいや、ダメでしょ。そんなの絶対にダメ! 一瞬、揺らいだ僕がいたけどそれはダメ!)


「さ、さぁ、思井くんが私にしてほしいことは何ですか?」


(……っ、必死に考えてるけどさっきの高嶺さんの誘惑が邪魔をして――)


「た、高嶺さん……その、また、いつかじゃダメですか? 今は思いつかなくて……」


「思井くんは今幸せなんですか?」


「う、うん……高嶺さんとのお祭りが楽しくて幸せです」


「~~~っ、そ、そうですか……ま、まぁ、そんなに急かすことでもないですからね。じゃ、じゃあ、いつか思井くんが困ったことでもあれば私に言ってください。私が手伝いますから」


「う、うん。その時に使わせてもらうね」


(ふぅ……こ、これで、大丈夫かな。してほしいことを言うっていうのも案外難しいものなんだ……。

『ゆ、浴衣の下に下着をつけないのか』

 あぁ、ダメだ。何度も高嶺さんのセリフがフラッシュバックして――つ、つけてないのかな……?)

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