第103話 してほしいことは何?

「「バイバ~イ!」」


「バイバイ。気をつけるんだよ~」


(ふぅ、子どもって本当に元気!

 しかし、あの子達、随分と仲良かったけど幼馴染かな?)


「いやぁ、高嶺さん。金魚すくい、楽しかったね」


「何ですか? 自慢ですか?」


「えっ、た、高嶺さんどうしたの?」


(高嶺さんなんか怒ってる!? プイってしちゃったし……あ、もしかして、一匹もすくえなかったから拗ねてるんですか!?

 それだと、楽しいとか言って悪いことしちゃった。謝らないと!)


「ご、ゴメンね、高嶺さん。結局、僕が一番楽しんじゃって……」


「……ふふふ、すいません。ちょっと、イタズラしちゃいました」


(高嶺さん……めっちゃ、楽しそうに笑ってる……)


「よ、良かった~……僕、高嶺さんを傷つけちゃったかと思って心配したよ……」


「ふふふ、金魚すくいに夢中になっている思井くんは本当に楽しそうで素敵でした!」


「……っ、あ、ありがとう……!」


(恥ずかしい……でも、それ以上に嬉しい!)


「しかし、本当に思井くんは金魚すくいが得意なんですね。それに比べて私ときたら一匹もすくえず……あの子ども達にも笑われました」


「ま、まぁ、人にはそれぞれ向き不向きがあるから……そこまで落ち込まなくても……」


(そう……高嶺さんは僕よりも多くのことで優れてる。勉強も運動も高嶺さんの方が僕より圧倒的に出来る。だから、僕はこんなことでも高嶺さんより出来て嬉しいんだ)


「それに、勝負にも負けてしまいましたし……。さぁ、思井くん。私にしてほしいことは何ですか?」


(あ、金魚すくいに夢中になって忘れてた。何を言えばいいのかな? 高嶺さんが嫌がるようなことじゃないのを選ばないと……)


「えっと……じゃあ、缶ジュースを一本奢ってほしいです!」

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