第98話 夏祭り
【もう少しで着きます】
【分かった。待ってるね】
(今日は高嶺さんと約束したお祭り当日。待ち合わせは花火が上がる一時間前に神社へ続く階段の下でってことにしたけど……現在、六時半。待ちきれなくて、三十分も前に着いちゃった。僕、浮かれすぎなのかな?
でも、高嶺さんももう少しで着くらしいし楽しみにしてくれてる、のかな……?
……にしても、夏休み最終日なのに人が多い。ぞろぞろと神社に向かっていく。まぁ、町内イベントの中でもわりと大きめだから仕方ないけど。珠だって、学校の友達と行くって言ってたし)
「……もしかして、思井、くん?」
「えっ――か、笠井さん?」
「あ、ははは……ひ、久しぶりだね~」
(高嶺さんを待ってたら笠井さんと出会しちゃった……)
「そ、そうだね……」
(き、気まずい……。笠井さんとは終業式の日に僕を間違えられたってところで終わってるから……なんか、話しにくい。笠井さんもずっとモジモジしてるっぽいし……居心地悪いよね)
「か、笠井さんは誰と来たの?」
「えっ!? あ~、うん、クラスの皆と。昨日、クラスのラインメッセグループに皆で行こって連絡があってさ。それで」
「ふ、ふ~ん、そうなんだ」
「あ、こ、これ、気になる? に、似合ってないよね。なんか、女子は可能な限り浴衣で参加! みたいな流れでさ……困っちゃったよ……アハハハ」
「……普通に似合ってると思うけど?」
(いつもは元気が取り柄の笠井さんだけど、浴衣を着ているせいかいつもよりおとなしい気がするんだよね。明るい黄色の浴衣を身にまとって、普段元気な子が大人しくしてるってのがギャップ萌えで……正直、可愛い)
「そ、そんな嘘いらないよ!」
「いや、嘘じゃないんだけど……」
「~~~っ、そう……ありがと……」
(笠井さんの照れる姿ってなかなか新鮮)
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