第76話 久々の彼女の声

(水華さんからいきなり、メッセージ……?

 水華さん、僕のことを嫌いになったはずだから、高嶺さんを傷つけてしまってから連絡なんて一切してなかったのに……急になんで……)


「……っ、これは……」


(超絶可愛い高嶺さんの写真がいっぱい……!?)


【私達はここ数日、家族で旅行に行っていました】


【あの、どうして僕に……?

 それに、水華さん……まだ、怒ってるんじゃ……】


【そんなの自慢に決まってるじゃないですか! あなたは、画面越しでしかこの可愛い氷華を見れません! でも、私はこの氷華と共に四六時中行動していました! どうです? 羨ましいでしょう?】


(なんだなんだ……凄い量のメッセージが送られてくる……)


【あと、まぁ……私も少し言い過ぎたと思ったので……】


(水華さん……)


【本当にごめんなさい。僕が悪かったんです。水華さんの言っていることは何も間違っていません。だから、これからは、ちゃんと水華さんに許してもらえるような僕になれるよう努力します】


【分かり、ました……。あの、私のことを嫌いになりましたでしょうか?】


【いえ、なってません】


【ほ、本当ですか!?】


【はい。水華さんを嫌いになる理由がないですから】


【そ、それは、良かったのです。あの、これからも同士として……嫌いにならないでくれたら、嬉しいのです……】


(ヤバい、高嶺さんにはすんごく申し訳ないけど……水華さん可愛い……)


【は、はい。その……こちらこそ、お願いします】


【では、早速氷華についてですが――】


(あ、これ、長くなるやつだ……。

 にしても、大量の高嶺さん写真……どれも、国宝級に可愛い。

 これは、どっかのホテルの浴衣のパジャマかな……うん、似合ってて可愛い。

 これは、何を食べてるんだろう? 分からないけど幸せそうに笑ってる……可愛い。

 これは、水華さんが怒らせたのかな? ムゥってしてるけど……やっぱり、可愛い)


「水華さん、僕に自慢するために送ったって言ってたけど……単純に羨ましい!

 ……あ、水華さんから高嶺さんの説明文がいっぱいきてる……」


【既読無視なのですか!? 返事を欲しいのです!】


「はいはい、今返事を……って、電話!?」


(水華さん、待ちきれなくて電話してきたのかな……)


「はい、もしも――」


「あ、お、思井くんですか!?」


(……え、この、声は――)


「た、高嶺さん!?」

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