第75話 忠実な夢

「はぁ……僕はなんであんな夢を……――」


(着替えながらでも思い出す……夢の中の高嶺さんを……。

 制服の前ボタンを開けて下着をチラつかせた状態で高嶺さんは僕を押し倒してきた。頬を紅潮させていて、身体も火照らせた様子だった……。

 そして、戸惑う僕に身体を密着させながら迫って……唇が触れそうになって……――)


「……って、やめろやめろ! 高嶺さんで変な妄想をするのはダメだ!」


(僕は高嶺さんと仲直り出来たことが嬉しくて……もう一度、仲良く出来ることが本当にありがたいと思っているのに……高嶺さんであんな妄想をするなんて……高嶺さんに申し訳ない!

 それに、あの高嶺さんと友達になれたからっていくらなんでも、自惚れすぎだ!)


「……でも、しょうがないっちゃしょうがないんだよね……だって、高嶺さんともうずっと会えてないんだから……!」


(夏休みに入って、もう一ヶ月以上……その間、一度も高嶺さんに会えていない!

 仲直り出来た日にラインメッセを交換しておけば良かったのに――)


「なんで、僕は仲直り出来ただけで満足しちゃったんだ。これじゃ、高嶺さんに会いたくても会えないじゃないか!」


(高嶺さん家を知ってるんだから、遊びに誘いに行けばいいけど……高嶺さんに何か用事があるかもしれないし……がっつき過ぎだと思われたくないし……。それに、あの日、水華さんに土下座までして、なんとか許してもらったけど……中々、行き辛いんだよね……)


「はぁ、高嶺さんに会いたい……高嶺さん成分が足りない……」


(だからって、高嶺さんの夢を見るのはダメだけど……夢を見るまで僕は高嶺さんのことを好き、なんだろうな……。夢って本当に自分の思いに忠実で連鎖するんだな……)


「怖いけど……高嶺さんの家まで誘いに行ってみようかな? このまま、何もないままの夏休みじゃ嫌だし……」


(よし、決めた……明日、高嶺さんの家に行こう!

 怖い怖いって考えて何も行動しないのはダメだ。いっつも、ダメな方に考えて後悔してるのが僕だ。僕は、少しでも高嶺さんに似合う男になるように変わるんだ。それで、ダメだったとしても、僕は少し成長出来る!)


「やるぞやるぞやるぞやるぞ……!」


(ん、誰かからメッセージ……? って、このアイコン――)


「……水華さん……!?」

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