第2章 友達から恋人へ

第74話 夢

「……思井くん、ちゃんと……見てください……私の全てを……」


(だ、ダメだよ、高嶺さん……僕たち、まだ友達なのに……)


「いいえ、私はもう我慢出来ません……私は、あなたの全てが欲しいんです……。私以外の女に盗られないように……」


(……っ、でも……)


「いいじゃないですか。私たちは互いに好き同士でしょう?」


(それは……)


「私は思井くんのことが大好きです。私の全てを捧げていいと思っています。それくらい、好きなんです!」


(……っ、高嶺さん……!)


「思井くんはどう、なんですか? ちゃんと、私のこと……好きですか?」


(そんなの……当然だよ! 大好きだよ!)


「では、私を受け止めてください。寂しいんです。だから、もう……」


(……っ、高嶺、さん……)


「ほら、目を閉じて……思井くん――」


「や、やっぱり、ダメだよ、高嶺さん! 僕たちはまだ……って、へ? 高嶺さんは……?」


(ここ、僕の部屋で合ってる、よね……? うん、壁にプリッキュアポスター貼ってるし、何より見るに堪えない泥沼……。と言うことは……)


「……~~~っ、ウワァアアアァァァ、僕は最低だぁぁぁ!」


(あんな……あんな、夢を見るなんて……しかも、高嶺さんで……!)


「お、お兄ちゃ~ん、どうしたの~? いきなり、大きな声を出して……怖い夢でも見たの!? 慰めてあげようか!?」


「……珠、今は開けないでくれ。僕を一人にしてっ!」


「……う、うん。じゃあ、ちゃんと起きてきてよ。お母さん、朝ごはん用意していってくれてるから」


「分かった。着替えたらすぐ行くよ」


「待ってるからね」


(……行ったよね。はぁ、まったく……こんな、状態の僕を見せられないよ。こんな、枕に頭をガンガン打ち付けるっていう奇行に走ってる僕なんてさ……)

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