第70話 交換

「た、高嶺さんもミサンガ買ってたんだね……」


「はい……。あの日は、これを思井くんとお揃いでつけれたらいいなって考えていたんです。でも、ケンカしちゃって……だから、思井くんと仲直り出来るようにってお願いするために買ったんです」


「そっか……」


(ミサンガにお願いしようと考えたのは一緒か……)


「……って、じゃあ、僕のミサンガなんていらないよね……。ごめんね、断りにくい物なんて渡しちゃって……か、返してくれて大丈夫だよ……」


(高嶺さんにと思ったけど……高嶺さんは既につけているんだ。返してもらって、せっかくだから僕が使おう……)


「いいえ、これは、返しません」


「えっ、な、なんで……。二つもつけちゃったら、欲張りだって思われて逆に不幸に……高嶺さんが危ない目に遭うかも……」


「そうですね……だから――思井くん、代わりに私がつけていたミサンガ受け取ってくれませんか?」


「……えっ……!?」


「私のお願いは思井くんと仲直りすること。その願いは叶いました。でも、幸いなことにミサンガはまだ切れていません。だから、私のミサンガと思井くんのミサンガを交換しましょう」


(高嶺さんが足からミサンガを外して……僕の手に……。

 そして、僕が渡したミサンガを大切そうに握りしめて――)


「私のミサンガはもう一度お願いを叶えてしまっています。だから、効果はそれほどないかもしれません……。だから、一緒にお願いしませんか?」


「一緒のお願い……?」


「はい。

 私は、思井くんとずっと一緒にいられるように……。

 思井くんは、私とずっと一緒にいられるように……。

 それぞれが、そうお願いましょう。

 ……あ、も、もちろん、今は友達としてなので、友達としての条件で、ですよ!?」


(高嶺さんとずっと一緒に、か……)


「……うん、良いねそれ。そうしよう!」


「は、はい……!」


(高嶺さんが望んでくれるなら……僕はずっと、高嶺さんと一緒にいる……。それが、友達だとしても……いつか、好きだと伝えてそれ以上になれたとしても……僕はずっと高嶺さんと――)


「それじゃ――僕の願いは――これから先も、ずっと高嶺さんと一緒にいたいこと」


「私のお願いは――これから先も、ずっと思井くんと一緒にいたいこと」


「……は、はは、あはははは」


「……ふ、ふふ、ふふふふふ」


「なんだか、ちょっとこそばゆいね」


「はい、恥ずかしいです……。でも――嬉しいです」


「高嶺さん……真っ赤になってるよ」


「い、いじわる言わないでください……! そ、それに、思井くんだって真っ赤です!」


「……うん、そうだね」


(高嶺さん、ムキになってる……。けど、喜んでくれてるのかな? 笑ってる……。

 僕は、その笑顔をもう二度と悲しませたくない……だから――)


「高嶺さん……改めて、これからもよろしくね……!」


「こ、こちらこそ! よろしくお願いします……!」


(――僕はその笑顔を守れるように頑張るよ……。友達として……高嶺さんの大切な人として……傍にいながら……!)

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