第58話 閉じこもり
「……お兄ちゃ~ん……大丈夫~……?」
「……………」
「珠、立衣の様子はどう……?」
「お兄ちゃん、返事もしない……。雨でびしょびしょになって帰ってきてからずっと部屋に閉じこもったままだよ……どうしたんだろう……?」
「よしよし、珠はお兄ちゃんのことが心配なのね」
「うん……あんなっ、お兄ちゃん、見たこと、ない、もん……」
「よしよし、泣かないで。お兄ちゃんは大丈夫だからね
立衣。何があったかは知らないけど……とりあえず出てきなさい。そのままだと、また風邪ひくわよ」
「……………」
「はぁ……開けるわよ――」
「開けないで!」
「立衣……」
「ゴメン、お母さん……。でも、今は一人にして……お願いだから……」
「……そう。じゃあ、出たい時になれば出てきなさい。ご飯、用意しとくから。
さ、珠。降りるよ」
「うん……。お、お兄ちゃん! 早く、出てきてね! 私、なんにも出来ないけど、慰めてあげることくらいは出来るから!」
(心配かけてゴメンね、お母さん、珠……。でも、今は誰とも会いたくないんだ……。だから、僕のことは放っておいて……)
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