第51話 デート中~色々見て回ろう~

「全部で五百円になりやーす。はい、五百円ちょうどですね。まいどありがとうございましたーー!」


(……なんだろう? 店員さん笑ってるけど目が怖い?

 にしても、鉛筆で五百円は高い気がする……)


「高嶺さん、お待たせ」


「…………」


「あの、高嶺さん……?」


「……っ、は、はい! か、買い物は終わりましたか?」


「う、うん。あの、何か欲しいものでもあった? 随分と真剣そうに見てたけど……」


「い、いいえ! そ、それより、次行きましょう」


(高嶺さん、出ていっちゃったけど……何を見てたんだろう――)



「お、思井くん、遅かったですね……何をしてたんですか?」


「うん、ちょっとね……。

 それで、次はどうしようか?」


「そうですね……私、色々と見たいので適当に見て回りませんか? 思井くん法式の攻略です!」


「そうだね。じゃあ、行こっか!」


「はい」



「むぅ……これ、難しいです……!」


「クレーンゲームって、運に左右されるところがあるからね」


「初めて遊びましたけど……こんなに難しいとは思いませんでした……」


(――と、言いつつまた百円が犠牲に……)


「あぁ、やっぱり、ダメでした……」


「高嶺さんはどれが欲しいの?」


「あれです。あの、二匹の猫が一緒にハートを持っているのが狙いです。あぁ、また落ちちゃいました……」


「高嶺さん、一回僕に代わってもらってもいいかな?」


「はい……」


(高嶺さん、落ち込んでるなぁ……。大丈夫。僕が取るから!

 高嶺さんが狙ってる猫の所に狙いを定めて――よし。あとはアームにかける!)


「えっ!? えっ!?」


「やった!」


「す、凄いです。一回で取れるなんて……しかも、二つも! 思井くんは神様なんですか!?」


「あはは、神様は大袈裟だよ~。

 はい、高嶺さん」


「え、く、くれるんですか?」


「うん。そのために取ったんだし」


「~~~っ、あ、ありがとうございます! 私、一生大事にします!」


(一生って……いちいち言動が大袈裟で可愛いんですよ!

 あと、普段からフィギュアのクレーンゲームで鍛えてて良かったーーー! 偉いぞ、僕!)


「……あの、思井くんも片方持っていてください」


「え、いいの? 僕は高嶺さんが二つとも持っていてくれて構わないんだけど」


「い、いいえ。その、今日の記念、と言いますか……その、私なんにも役に立たなかったけど、思い出として思井くんにも持っていてほしいといいますか……」


「う、うん……じゃあ、僕も大切にするよ」


「はい……」


「つ、次、行きましょう!」



「高嶺さん、似合ってますよ!」


「そ、そうですか? 麦わら帽子なんて今までにかぶったことがないので自分ではよく分かりません」


(いや、本当に似合ってますよ!

 制服に麦わら帽子っていう組み合わせはなんか変だけど……)


「お、思井くんはこれをかけてください」


「サングラス?」


「はい」


「良いけど……似合わないよ?」


(うん……やっぱり、鏡に写る自分の姿を見たけど笑えるほど似合ってないな……。いや、笑えなさすぎて逆に笑えてきたかも……)


「やっぱり、僕には似合わないね」


「わ、ワイルドです……」


「……え!?」


「は、す、すいません。忘れてください」


(高嶺さんが僕のサングラス姿を見てワイルド……?高嶺さんが言うなら本当にそうなの?

 ……いや、やっぱりないな。ワイルドさの微塵も欠片もない。高嶺さんのセンスが少し心配になってきたぞ……!)



「やっぱり、ブニクロは良いですね。試着だけならただで出来ますし、楽しかったです。私、ブニクロ好きです」


(まぁ、服は試着してないけどね……。ただ、遊んでただけだけど楽しかったことに違いわない!)


「高嶺さん、麦わら帽子買わなくてよかったの? 似合ってたけど」


「私、帽子ってあまりかぶらなくて……でも、思井くんがそう言ってくれるならもう少し考えてみます」


「う、うん……」


(そーいうところだよ! なんで、そんなにさらっと言えるわけ!? キュンキュンするじゃないですか!)


「あ、そ、そうだ。高嶺さん、さっきはありがとう」


「なんのことですか?」


「いや、あってるか分からないんだけど……さっき、僕のために怒ってくれたんじゃないかな……って、思い込んでます……」


「わ、私、嫌いなんです。他人のことを知りもしないで決めつける人。ちゃんと関わってみないと、その人がどんな人かなんて分からないじゃないですか」


(高嶺さんは立派な考えをしてるんだな……)


「それに、思井くんのことを酷く言って……正直、あんな方達には二度と会いたくありません! 腹が立ちました!」


(高嶺さんはやっぱり眩しい……こんな僕のために……。

 それに、比べて僕は……高嶺さんにをついたままで――)

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