第49話 デート中~ナンパ退治~
(色々調べてたら遅くなっちゃった……高嶺さん、もうクレープ買えたかな……?)
「……っ!?」
(えっ!? た、高嶺さん、誰ですか!? そのいかにも陽キャラなチャラついている男二人は!?)
「ね~ね~、か~のじょ。めちゃ可愛いね!」
「どうよ~、俺達とお茶でも?」
「え……あの、あなた達、誰なんですか? 私とどこかでお会いしましたか?」
「そんなのどうでもいいじゃ~ん」
「そうそう。俺等はこれから、君とお知り合いになりたいな~って思ってるんだよ~」
「あの、そう言っていただけるのは嬉しいんですけど、私人を待ってるので……」
「いいよいいよ。そんなの気にしなくて。友達なら俺等も一緒に待つよ」
「そうそう。クレープもゆっくり食べちゃっていいからさ」
「いえ、でも、あの……」
(た、高嶺さん困ってる……!
てか、あれって完全にナンパだよな。高嶺さんに気づかれないよう静かに近づいたけど……助けたい。でも、僕なんかがあの二人組からどうやって高嶺さんを助けたらいいんだ……!?
って、悩んでる場合じゃないだろ……!
僕は高嶺さんの彼氏なんだ……! どうなってでも高嶺さんを助けるべきだ!)
「高嶺さ――」
「違います。私が待ってるのはか、彼氏、なんです!」
「――ん!?」
「ヒャアッ! お、思井くん!?」
(や、やっぱり、高嶺さん相当困ってたみたいだ……。僕が、肩に手を置いただけでこんなにビクッって反応して――)
「あ、何だお前?」
「そうそう。関係ない奴は引っ込んでろよ」
「か、関係あります。僕が彼氏だから」
「……プッ、ッハハハハハ。か、彼氏って……ハハハハハ!」
「ギャハハハハ。に、兄ちゃん、自分の姿鏡で見たことないのか? お前みたいなのがその子の彼氏なわけねーだろ!」
(グッ……わ、分かってはいたけど、信じてもらえないか……)
「ち、違います。この人が私の彼氏なんです! だから、帰ってください」
「そんな嘘つかなくていいよ。君達、どう見ても釣り合ってないんだし」
「そうそう。どうせ、君もコイツのこと財布だと思ってんでしょ? 私に貢いでくれる財布だって」
「そ、そんなこと思ってません!」
「おい、いいか? お前も理解しろ。お前みたいなクソデブとこ~んな可愛い子が釣り合うわけねぇんだよ」
「さ、俺等と楽しいとこ行こっか。俺等と遊ぶと君が望むものぜーんぶあげるよ。それに、こんなクソデブといるより、だいぶ気持ちいいと思うよ」
「……私の望むものぜーんぶくれるんですか?」
「うんうん」
「なんたって、俺等は君が望むもの全部分かっちゃうからね!」
「……では、早く私の目の前から消えてくださいますか?」
「「はっ?」」
(た、高嶺さん……?
……っ、高嶺さんから冷たいオーラが……!)
「あなた達は私が望むもの全部分かると言いました。でも、ひとつも分かっていませんね。だって、私が望むものはあなた達みたいな人を見た目で判断する最低なドクズさんがいない世界なんですから。
さ、こんな人達は放っておいて、いきましょう思井くん。で、デートの続きです……!」
「う、うん……」
(クレープを持ってない左手で僕の手を自然に繋いで……か、カッコいいです!
高嶺さん……僕のために怒ってくれたのかな……?)
「おい、ちょっと待てよ」
「そうだぜ。黙って聞いてりゃ可愛い顔して生意気なんだよ! 調子に乗るんじゃねぇぞ!」
「調子も何も……私は思ったことを言っただけなんですけど……」
「……っ、それが生意気なんだよ!」
「後悔させてやる!」
(うわっ、この男頭で考えることが出来ないゴリラなの!? 高嶺さんに暴力を振るおうとするとか全人類を敵に回したも同然だよ!?)
「覚悟しろ!」
「……っ……お、思井くん!?」
「ふぅ~……だ、大丈夫、高嶺さん」
「は、はい……だって、思井くんが守ってくれているから……」
「お、おい、どうしたんだよ? そんな奴、ぶっ飛ばせるだろ?」
「グッ……そ、それが、コイツの力がスゲェ強くて……手を離してくれないっ……」
「あの、いい加減気づいた方がいいですよ。あなた達、だいぶ浮いてます。周りの目、気になりませんか?」
「あ?」
「な、何見てんだよ……」
(そう、ここはあくまでも公共の場――そんな場所で騒ぎを起こせば問題になるに決まってる。それに、一部始終しか見てないとしても明らかに向こうが悪い。つまり、この勝負――高嶺さんという高嶺の花にちょっかいを出した時点で決まっていたのさ!)
「お、おい……ザワザワするんじゃねぇ! ジロジロ見るんじゃねぇ!」
「お、おい……もう行こうぜ」
「チッ、覚えてやがれーーー!」
(うわっ、なんてダサい負け台詞……あなた達二次元から出てきた負けキャラなの!?
……な~んて、思ったけど……焦ったーーー! 怖かったよぉぉぉ!)
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