第48話 デート中~ネットは役に立たない~

「ふぅ、ごちそうさまでした」


「美味しかったです」


「高嶺さん、デザートはもう何を食べるか決めてる?」


「はい。クレープにします。イチゴクレープです!」


(即答……)


「クレープか。クレープは……結構並んでるね……」


(は! い、今だ!)


「た、高嶺さん。僕、ちょっとお手洗いに行かせていただいてもよろしくて?」


「す、すいません。お気遣い出来ずに……。私、食器を返したら並んでますのでゆ、ゆっくりとどうぞ……!」


「ご、ゴメンね、またあとで!」



(……別にトイレがしたい訳じゃないけど、ちょっと個室に失礼して――ついでに用を足しておくか……。

 ふぅ、さてと……。

【初めてのデート 男リード どうしたらいい?】検索っと……。


 うわぁ……めちゃくちゃある!

 え~何々……――

『初めてのデートなら、無難に映画でもいかがでしょう? カップルシートに座り、恋愛映画を観ます。そして、映画が進むに連れて、手を絡め合います。いい雰囲気のまま、映画を終えるとあとはホテルに連れ込み押し倒します! あとは、本能の赴くまま、身体に身を任せましょう!』……うん、ダメだな!


 次……――

『高級レストランでディナー等はいかがでしょう? 楽しい雰囲気に、美味しい料理。自然と会話が弾み、軽くワイン等でほろ酔い状態へ。食事を終えると、酔ってしまって頬が僅かに紅潮し、ふらふらする彼女をホテルへ連れていきます。あとは、優しく介抱しながらそのまま一線を越えてみてはいかがでしょう?』……うん、ダメ!


 これは……――

『初めからホテルへ連れていきます。あとは――』)


「あぁ、もう全部ホテルじゃねぇかぁぁぁ!」


(……は、ここトイレだってこと忘れてた。

 それにしても――ネットの手助けなんて全く役に立ちそうにない! っていうか、これ書いた奴全部同じ奴だろ! どれだけ、ホテル行ってんだ!

 僕はただ、高嶺さんに楽しんでもらいたいだけなのに……やっぱり、ぶっつけ本番でいくしかないのか……!

 いや、もうここまできてるんだ。やってやる……僕はやってやるよ!

 とりあえず、これには役に立たなかった方に一票いれて――うわぁ、いれられてる票全部役に立たなかった方だ……。

 待っててね、高嶺さん。今、行くよ……!)

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る