第40話 彼女の看病のおかげ

立衣たいー。そろそろ、起きなさーい」


「……ん、お母さん。帰ってたんだ。おかえり」


「ただいま。さてと、熱の調子はどうかしらね。ん、もう下がったようね」


「お母さん。もう高校生なんだから、おでこ同士を当てて確認するのはやめてよ。恥ずかしい」


「はいはい、分かりましたよ。でも、これで、テストは受けれそうね。一学期の締めくくり、ちゃんと頑張るのよ」


「うん、分かってる」


(高嶺さんがせっかくお見舞いと看病をしに来てくれたんだ……! 風邪が治ったのも高嶺さんのおかげと言っても過言ではない! 高嶺さんのためにも、僕はこれから最後まで諦めず、悪あがきしてみせる!)


「あ、お兄ちゃん起きたのー? お母さん、おかえりー」


「ただいま、珠。お兄ちゃんに迷惑かけなかった?」


「うん!」


「そう。偉い偉い。じゃあ、お母さん晩御飯の用意するからちょっと待っててね」


「分かった~。

 あ、そうだ、お兄ちゃん。机の上にあるの、高嶺お姉さんからのプレゼントだよ。学校で渡されたプリントだって」


「ああ、そう。分かっ――って、高嶺お姉さん!? ど、どうしたんだ、珠。お兄ちゃんの風邪でもうつしちゃったか?

 ……うん? おでこは熱くないな……」


「私と高嶺お姉さんは仲良くなったの。だから、高嶺お姉さんって呼ぶことにしたの」


「あっそう……」


(僕が寝てる間に何が起きたの? さっき、見てたのって夢のはずだし――)


「た、立衣! ちょっと、来なさい!」


(今度はなんだ!?)


「ど、どうしたの、お母さん?」


「こ、これ――」


(……ここ、僕ん家の台所であってるよね? うん、見慣れた冷蔵庫があるからあってる。じゃあ、なんでこんなにピッカピカに輝いて――)


「ど、どういうことなの!? まさか、台所を綺麗に片付けていく新手の泥棒でも入ったの!? け、警察に連絡しなきゃ……」


「ちょ、ちょっと、待ってお母さん。落ち着いて」


「ああ、それのこと~?」


「「珠……」」


「それね~、風邪ひいたお兄ちゃんのお見舞いに来てくれたお兄ちゃんの彼女が綺麗にしてってくれたんだ」


「そう。立衣のお見舞いに来てくれた彼女さんが――」


(あ、なんか、逃げろって神からのお告げが――)


「……立衣くん。そろりそろりとどこへ行くのかな?」


「ヒィィィ……い、いや、部屋に戻って勉強でもと――」


「――ちょっと座って、お母さんと話そうか?」


「……はい」

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