第13話 高嶺さんのお姉さん
(や、やっぱり、ここが、天国だったのか……。でも、高嶺さんの部屋に入れたんだ……僕の人生に一片の悔いなし!)
「思い知ったか! この不届き者め! 私の可愛い妹に手を出すなど百万年早いわぁぁぁ――!」
「思井くん! しっかりしてください、思井くん!」
(あぁ、高嶺さんが僕の手を握ってくれてる……――)
「フハハハハハ――氷華、怖かったね……。でも、もう安心よ。私が悪を成敗したから!」
「もう、お姉ちゃん! よく、思い出してよ! 思井くんは何もしてなかったでしょ? わ、私が思井くんを――お、押し倒しちゃったの!」
「な、何だってぇぇぇ……――!」
「イタタタタ……」
「思井くん、無事で良かったです……」
(……うん、ホントにね? 僕のお腹にある分厚い肉が威力を殺してくれたお陰だよ……サンキュー、ミート!
……にしても、高嶺さん……安心して涙を流してくれるなんて……なんて、優しい人なんだ!
……それから、この状況……どうしよう?)
「こ、この度は本当になんと謝ればよいのか……本当に申し訳ありません……」
「あ、頭を上げてください、お姉さん。僕は大丈夫ですので」
(高嶺さんのお姉さん、めっちゃ綺麗に土下座してる……ってか、土下座なんてされたの生まれて初めてでどうすればいいんだ!?)
「いえ、この度は私の勝手な都合によりお二人の……け、経験を途切らせてしまい、なんとお詫びすればいいのやら……」
「お、お姉ちゃん!」
「なんですか、氷華? そんなに、慌ててどうしたというのです?」
「け、経験とかじゃなくて……だから、あれは事故だって言ってるの! そんなことするなんてまだ早いよ!」
「いえ、もう氷華も高校二年生……まだ、十六歳だと言っても、そういう経験はしていいはずです……クッ、私が初めての相手になれないのが悔しいですが……!」
「ブフゥゥゥーーーッ!」
「~~~っ、お姉ちゃん!」
(きゅ、急に何言い出してるんですか!? しかも、高嶺さんのお姉さん、ふざけてる様子じゃなくて真剣だし……この人、やだ。怖い!)
「あ、あの、高嶺さん……高嶺さんのお姉さんって……」
「はい……」
「そこ! 何をこそこそと話してるんですか!? 私の可愛い愛しの妹と内緒話だなんて許せませんよ! 私も仲間にいれてほしいのです!」
「私の姉――
「私はシスコンなどではありません。氷華が可愛いのがいけないのです!」
(呆れる高嶺さんとそんな高嶺さんにもベタベタとくっつこうとする高嶺さんのお姉さん……――)
「高嶺さん……大変なんですね……」
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます