第5話 居眠り
(ね、眠い……。ご飯の後に映画鑑賞はダメだ。しかも、全く、内容がつまらない。変な先生みたいな人がひたすら化学式を唱えるだけの映画ってなんなの!? プリッキュアの映画の方が何百倍も面白いわ!)
「なぁ、スゲー眠いんだけど……」
「分かる。面白くもないし、もう夢の世界行くわ……」
「私も……」
(ほら、やっぱり、僕だけじゃなかった。皆、だんだん夢の世界に行ってるし……てか、先生まで寝てんじゃん! なんで、この映画ちょいすしたの!?
ま、こんな映画でも高嶺さんは真剣に見ちゃうんだろうな~……っ!
あ、あの、高嶺さんがネムッテイル……だと!?
そ、そんな……いいの、高嶺さん? 教室でそんな姿――あ、高嶺さんの両隣も寝てるから安心してるんだね! でも、僕みたいにいつ後ろを向く生徒がいるか分からないから起きて~!
……あ、起きた。そして、恥ずかしそうにキョロキョロ辺りを見回しながら、誰にも気づかれてないのを確認できたようで安心してる……。
良かったね、高嶺さん……僕も、安心したよ……――)
「――……は、み、皆、起きろ。授業が終わるぞ!」
「ふぁー、よく寝た~」
「おはよー、先生~」
(け、結局、僕も眠ってた。ま、まぁ、今日は寝不足だったし仕方ない!
それより、高嶺さんは――)
「いや~借りてきた先生が言うのもなんだけど、糞映画だったな。皆が寝ても仕方がない。だが、そんな中で、最後まで起きていた者がいる。高嶺だ」
(いやいや、先生、高嶺さんも寝てましたからね!? 皆も謎の感動を口にしてるけど、やめてあげて? 高嶺さんが罪悪感を感じちゃうから)
「よく起きてられたな、高嶺」
「いえ、そんなことありません」
「いや、こんなつまらん糞映画をよくぞ最後まで集中して見た。流石、高嶺だ!」
「そ、そんなことは……その、そこまでつまらなくもなかったので……――」
「いやぁ、気も使わせちゃって悪いな、高嶺。それじゃ、今日はこれまで。後、一時間、皆寝るなよ」
「先生もね~」
「おっと、これは、やられた!」
「アハハハハ――」
(た、高嶺さ~ん。皆が笑ってる最中に、誰にも気づかれないように申し訳なさそうにしないで~。その姿が痛々しいよ!)
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