後編 チートすなわちハーレム?
さて。
前項において『cheat』という言葉の意味を考えた時。
私は、自分の脳内イメージに関して「90%が『カンニング』で『騙す』『欺く』は1%くらい」と書きました。
「では、残り9%は何なのか?」
そう不思議に思った方々もおられるかもしれません。
この項目では、その『残り9%』について語ってみたいと思います。
それはズバリ、
「浮気」
という言葉です。
またまた辞書で調べると、三番目の項目に「浮気する」という意味も書かれていますから、今度も、あながち間違っていないようです。
結局、私の頭の中では、
「辞書的な二番目が90%、三番目が9%、一番目が1%」
という状態だったわけです。
さて。
私は浮気というものが嫌いです。するのも、されるのも嫌いです。
私が小さい頃には、まだ「不倫は文化」という言い回しもありませんでした。初めて聞いた時には、
「『不倫』などという、柔らかい響きの言葉で誤魔化すんじゃねえ! 結婚式で永遠の愛を誓ったはずなのに浮気するなら、それは姦通だ! 姦通罪だ!」
と、憤りを覚えました。いや、さすがに、私が生まれた時点で既に姦通罪なんてなかったはずですが。
道徳的に「悪いこと」とされていた「男女間のあれこれ」を、柔らかい表現で言い換えてしまうのは、それに対する抵抗感を無くさせよう、という動きでもあるのでしょうか。『不倫』という言葉だけではなく、『売春行為』なのに『援助交際』と表現する風潮に対しても「寒い時代だと思わんかね」と言いたくなるのですが……。
話が逸れました。忘れてください。
ともかく。
私は、浮気反対派です。
しかし、モテたいという気持ちがないわけではありません。異性から好かれたいという気持ちがないわけではありません。
誰とも付き合っていない時に――特に自分が「好き!」って思う異性もいない時に――、異性からモテるのは、悪くない話だと思います。それなら、浮気にもなりませんからね。
さて。
この項目で浮気に関して語り始めたのは、上述のように『cheat』の日本語訳に「浮気」という言葉があるからです。
ならば。
異世界チートについて考える場合でも「チートとは浮気のようなものである」という見方も出来るのではないでしょうか。
前項が長すぎたので、もう、長々と考えるのは止めておきます。
ただシンプルに「チートとは浮気のようなものである」というならば「転生チートを好む人々は、浮気を好む人々なのではないか」と考えてみました。
もちろん「浮気を好む」と言っても、フィクションはフィクションです。現実とは違います。フィクションで浮気を好む人が、必ずしも現実で浮気をしている、とは思いません。
現実世界で「機会があれば浮気したい」と思っている人もいれば、現実では良くないことだからこそ「せめてフィクションでは、モテモテで浮気しまくるのを読みたい」という人もいるのでしょう。
とりあえず、これらを「フィクション浮気賛成派」と呼んでおきます。
一方、私のように「浮気は嫌い」という人々の多くは、たとえフィクションであっても「浮気は嫌だなあ」と思うのではないでしょうか。フィクションでも「そういうのは不誠実」と感じる……。「フィクション浮気反対派」です。
意味的に「チート」が浮気であるならば、前者の「フィクション浮気賛成派」は転生チートも大好きであり、逆に後者の「フィクション浮気反対派」は、転生チートも嫌いなのでしょうか……?
と、そこまで考えた時。
「あっ!」
私の頭の中で、ピコンと電球が点灯しました。
そうですよね。
ここまで「転生もの」「チートもの」って考えてきましたが、流行りのラノベやネット小説には「ハーレムもの」というジャンルもあるわけです。
しかも「チーレム」という言葉もあるように、チートものとハーレムものは合体しています。
チートものが好き。
ハーレムものが好き。
この両者の読者層は、思いっきり重なるのでしょう。
なるほど、なるほど。
もちろん「ハーレム」は「全員が本命」という意味では「浮気」とは違うはずです。でも「複数の女性からモテたい」という願望がある時点で、似たような方向性だと思えてしまいます。
「『チート』という言葉の中に『浮気』という意味が含まれるなら、ハーレムものとチートものの親和性が高いのも当然かなあ」
今さらながらに、納得してしまいました。
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