第11話 私と克己さんのハンカチ

 ポロポロ涙が止まらない。

 どうしよう。

 恥ずかしい。


 克己さんが困っているじゃないですか。


 土曜の朝で人通りが少ないとはいえ、私達の横を時々通る人がいて何事かと言う顔をしている。私と克己さんは好奇の目で見られていく。


 ああっ、もしかしたら。

 彼氏に泣かされた彼女みたいに見えてるのかな? すごい勘違いをされているかもしれない。

 ごめんなさい。克己さん。


 私が申し訳ない気持ちで克己さんを見たら、克己さんは大きな手を私の頭に近づけて……よしよしとしてくれた。

 克己さんからハンカチを差し出されて、私は「いっいいです、悪いから」と両手を振りながら断ると、克己さんは私の涙を拭いた。


「チョコちゃん、もう一度言うよ。公園に行くのは気が進まないかも知れないけど、そこのベンチで話そう。

 まあ……俺のためだと思ってさ」

 克己さんは柔らかい笑顔で私を見ている。

 確かに通る人、通る人にジロジロ見られてる。このままだと誤解されるだろうし、私は嗚咽交じりに「うん」とうなづいた。



 目の前の公園はこじんまりとしていたが、お年寄りが数人いてグラウンドで楽しげにゲートボールをやっている姿が目に入った。

 時折り、拍手と歓声があがる。

 大事な憩いの場所なんだなあ。


 私は克己さんに促されて、木のベンチに克己さんと並んで座った。


「話してごらん。俺なんかに話してもなと思うかもしれないけれど、ずっとチョコちゃんが我慢していること言ってみな?」

 私は困っていた。

 何を悲しんでいるのか、我慢しているのか。

 ずうっと長いこと色んなものが、辛いなと思う事は繋がっている気がする。


 何から話せば良いのか分からなかった。


 克己さんはそんな私の様子をじっと見て話し出すのを待っていてくれる。


 時々、まだしつこく溢れて止まらない私の涙をハンカチで拭いてくれながら。




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