第9話 学校生活
そうは言っても魔術高等専門学校である。いくら科学を学ぼうと思ったところで、魔術の授業からは逃げられるわけがない。ましてや、日常生活で使う魔術を理屈抜きで丸暗記している程度の、右も左も分からぬ15歳だ。必修科目の【陰陽五行】が、ユキが最初に受ける講義となった。
呪文を構成する要素は、
ユキは、今までに使ってきた呪文の数々を思い出していた。
確かにその通り、最低限の詠唱で最大限の力を引き出せるような構成の要素で呪文は組み立てられているようだった。
では、敢えて最大限にならないように調整した呪文を作ったら、どうなるのか?
ユキは早速そう質問した。
「寝るときの常夜灯の呪文はわかりますか?
あれは、最低限必要な大きさの灯りをともすためだけに、そういった組み合わせで作られている呪文ですよ」
そういえば、お茶を淹れるときのお湯の温度の調整に、やたらと長ったらしい呪文を唱えなければならない。なるほど、出力の調整のためにも属性の把握が必要というわけか、と納得した。
そしてユキは、破壊力を最小に留めた攻撃呪文を作ってイタズラができないか、などと考えはじめていた。陰陽五行の説明についてはほとんど上の空で、知っている呪文だけで何かを組み立てようとしていた。
――早速、組み立てた呪文でイタズラを企てるユキ。ぶつぶつとつぶやくその呪文は教室の中にいる誰も、教師すらも聞いたことのないモノで、ゆえに教師すらもただの独り言だろうと思い込んで放っておいた。が――教師が持っていたチョークが、突然さらさらと音もなく崩れ落ちた。
そのとき何が起きたのかがわかっていたのは教室内でただひとり、ユキだけであった。
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