第3話 入学準備

 といっても、両親ともに優秀な魔術師である。


 カリキュラムの通りに進めて、わからないところがあれば両親から助けてもらえるのだ。


 だが、ユキはそれに甘えたくないという気持ちも持っていた。


 魔術というものは、理屈もわからないまま呪文を詠唱したところでうまくいかない。理屈を勉強したいだけなら、魔術高等専門学校に行く必要はないのだが、ユキはどうしてもそこの専攻科で勉強ができる、科学に惹かれていたのだ。


 世の中の大半は、いまさら廃れつつある科学の勉強をして何になるんだとバカにする。だが、ユキはそうは思っていなかった。科学と魔術が融合したとき、素晴らしい未来が見える、そう信じていたのだ。


 魔術高等専門学校に合格した決め手も、その主張であろう。


 たとえ魔力不足等で魔術師として大成しなくとも、研究者としての道を見ていたのである。


 冷蔵庫や車など、もはやロストテクノロジーになりつつある科学あってこその道具なのだから、それをもっと便利に、何なら今は存在しない本当のロストテクノロジーから新しい道具の開発をしたい、それがユキの願いだった。


 1年生最初のカリキュラムには、【科学と魔術の融合】という、ユキにはなんともそそられる講義があるのだ。


 他の講義は付いていければいい程度に考えて、ひたすらこの講義の教科書の予習をしていた。


 魔術の基礎も怪しく、科学の知識には乏しい15歳が、どの程度頑張れるのだ? という不安は常に抱いていたようではあったが――

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