7……宝玉呪術師の妻の証拠

 真夜中、神が通り過ぎる気配。イザークはふとぬくもりに目を醒ます。ティティインカが絡まるように抱きついているに気付いた。ふと視線をやると、少し大きめの胸が零れ落ちていた。


「……無防備な王女だな」

「ん……」薄目を開けたティティインカの目が赤く光る。その妖艶さにドキリとした瞬間、ティティの唇が開いた。


「――来い……わたしのなかに」


「なっ……んだと?」夜中に大声を出して、イザークは口元を押さえる。ティティは眠そうな唇をまた開くと、ほっそりした腕をイザークに回して来た。


 ……駄目だろう、コレは。いや、駄目だろ……否定を砕くように、優しい感触に引き寄せられる。


「起きろ、ティティインカ」


 堪えて呻くが起きない。それどころか、フフフと手が伸びてきた。己のものを撫で擦りあげられて、イザークはびくりと身体を震わせてしまう。ティティの手はどうみても、イザークのものを硬く仕立て上げているようにしか見えなかった。


 ――エロいネフティス神でも憑依させたのか。寝る前に呪文呟いていたし。いや、妹に手を出せばラムセスに半殺しにされる。


「ふふ、熱い」暢気な王女は寝転けたまま、イザークのものから手を離そうとしなかった。それどころか起き上がって今度は身体をすり寄せてくる。「フフフ」フフフしか言わない。


 外は暴風雨で荒れ狂っていて、神の勢いに呼応しているようにも見えた。


「古代王国の王女を襲った罪人も悪くない。今更かよ」


 独りごちると、イザークはティティインカの手首を掴み、ベッドに押し倒した。紅玉の瞳がじっとイザークを見詰めている。


「なんて言うか。寝ろ。疲れてるくせに」

「なんだ、しないのか。……こっちが足を開かなきゃ、駄目か。ふん、この子には無理だろうな。おまえ、イイ物を持っている。また、機会を狙うとするか」


 ふうっとティティは安らかな寝息に変わる。

 宝玉呪術師の証拠を見た。己の肉体を媒介に、神と交渉を図る。呪力を宝玉に詰めて、護りとすると聞く。まさか、アケトアテン王女が――。


 イザークは髪をかき上げて、ティティインカのほおを突いた。嫌がって背中を向けられたが、今のティティが本物だろう。


「……見損なうなよ。ちょっと惜しかったけどな」


 ティティインカが宮殿にいたなら、抱いたかも知れなかった。さすがに今後の恐怖で震えている少女を貫くような鬼畜にはなれない。悪戯な女神なんかもう憑依させるな。


「――マアトの裁きになんて夜だよ……ほら、胸、零れているぞ」

「んん……あったかい……」

 白い果実のごとくの柔らかい胸をそっと衣服に戻してやり、イザークは背中を向けた。ぴと。と安心したティティインカの体温を感じているうちに、興奮は緩く収まって行き。



 ――波乱の夫婦生活(予定)の幕開けだった――。

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