第一話 二日目のはじまり

その1 朝食の時間

 なかなか眠れないと思っていたがいつの間にか寝ていたようだ。

 目覚まし代わりのタブレットの振動で目を覚ます。

 振動を止めて気配を伺う。

 ベッドの上の2人はまだ寝ているようだ。

 とりあえず顔を洗って着替えて、朝食でも作ろうか。

 なるべく音を立てないよう起きて、静かに洗面所へ。


 洗面して着替え、キッチンへ。

 今日はベーコンエッグとスープでいいかな。

 主食は冷凍保存してあるパンでいいだろう。

 パンを解凍兼ねて焼きながらベーコンエッグを3人分作る。

 皿を並べて3枚目のベーコンエッグを入れた辺りで2人が顔を出した。


「おはようございます」

「おはよう。よく眠れた?」

「ええ。でもすみません、お手伝いもしないで」

「ならそこの皿をテーブルに持って行ってくれ」

 2人がベーコンエッグの皿とスープの皿を持って行ってくれた.

 それにしてもこの家に女の子が2人って、今見ても何か夢か冗談のようだ。

 この家には特に誰も入れることないと思っていたから。

 でも可愛い女の子2人との生活というのは悪くない。

 辺りの彩度が少し上がった感じだ。


 私も焼いておいたパン6枚とフォーク、スプーン、箸を持ってテーブルへ。

「それじゃ朝御飯にしよう。いただきます」

「いただきます」

 という事で朝食開始。


「確かパンは向こうの世界にもあったよな」

「ええ。でも形が違いますし、こっちの方が柔らかいです」

「これも美味しい」

 アミュはベーコンをつついている。

「今日はまず向こうの世界の話を二人にして貰おうと思っている。その後服が届いたら外へ行ってみよう。ここの世界がどんな処か、買い物をしながら色々見て貰おうと思う」

「わかりました」

「はい!」

 アミュは返事こそするが食事に夢中のようだ。

 見ていると幸せそうでこっちまで笑顔になってしまう。

 アミュもシェラも可愛いしシェラは綺麗だし、何かまだ夢のようだ。

 2人に見とれているのがバレると恥ずかしいので、私も食事に目をやりながら話しかける事にしよう。


「向こうの世界でも存在しそうなもの中心に作ったんだけれど、味はどうだ」

「美味しい!」

「美味しいです。とっても」

 それなら良かった。

 でも所詮安物の食品だし、向こうの世界は技術が進んでいない分食品は本格的なのじゃないだろうか。


「このメニューも向こうの世界にあるものだと思うけれどな」

「だから食べるときに抵抗がないです。それにこちらの方が味が美味しいです」

 アミュはうんうん頷きつつ、今はチーズトーストを食べている。

「パンもチーズも、このベーコンも向こうのものに比べて癖が無くて食べやすいです。パンも柔らかいですしさくっと食べられます」


「癖が無いのは確かだけれど、味の深みもあまり無いだろ」

 何せ安い大量生産パンとかチーズ、ベーコンだしな。

「向こうのパンは固くてこんなにさくっと食べられないです。チーズは固いか匂いが強いかで、ベーコンももっと塩味がきつい感じです」

 それは簡易製法の分、癖が無いという事なのだろう。

 熟成とかもあまりしていないし、冷蔵技術が発達しているから塩分が強くなくても保存出来る。

 そういうのも確かに食べやすさという面ではいいんだな、と改めて思った。

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