その5 お風呂に入ります
とりあえずお兄ちゃんでも大丈夫説は心の奥深くへと押し込む。
私は変態では無い。シスコン
紳士だ。決して変態紳士では無い。
どうも考えると色々藪蛇になる。
目指せ無念無想の境地だ。
何せ次のイベントは……
「さて、それじゃ疲れたろうから今日は風呂へ入って寝よう」
「浴場があるのですか」
ささっと向こう世界での知識の浴場が思い浮かんだ。
うん、こんな豪華なものじゃない。
「個人用の小さな奴だ。アミュと二人なら大丈夫だろうから入ってゆっくりしてくれ。でもその前に使い方を説明しないとな」
タオルを持って洗面所兼脱衣所に置いて、風呂場へ三人で入って説明する。
勿論服を着たままだ。
「ここが浴槽、小さいけれど二人なら大丈夫だろ。あとこれがシャワーで、ここの栓をひねるとお湯が出る。こっちのボトルが髪を洗う時用で、こっちが身体や顔を洗う時用。目に入らないよう注意してくれ。そんなところかな」
そして洗面所の方に戻る。
「服は明日、届くまで今着ている物で我慢してくれ。身体を拭くタオルはこれ、一人一枚。あとは大丈夫だな」
タオルは一応バスタオルを用意した。
自分一人なら普通のタオルで誤魔化すのだけれども。
なおこの説明は基本的にアトラ語でやっている。
これならアミュでもわかるだろうから。
「わかりました」
「アミュもわかった」
アミュが脱ぎだしたので急いで洗面所から出る。
誤解を招くような行為は極力避けよう。
私は紳士だし歳も歳だしロリコンでは無い。
だからシェラの裸とか間違えてもアミュの裸に興味は無い。
間違えてもシェラならお互い40代だから大丈夫だなんて考えたりしない。
でも地球とミーラクの一年の長さの違いはどれ位あるのだろう。
ミーラクの一年は243日か244日、1日の時間は……
時間単位の大きさが地球と比較して同じかどうかわからんから参考にならないな。
そんな事を思った時だった。
「お父さん、すみません。お願いします」
シェラの声。
「どうした」
「冷たい水しか出ないんです。お願いします」
どうしようか一瞬考えた。
うん、中に入るのも仕方ないよな。仕方無い。
そう判断して洗面所の扉をノックする。
「入るぞ」
「お願いします」
そんな訳で風呂場の中へ。
まだ湯気が充満していないから全部丸見えだ。
取り敢えず邪念は無視しつつシェラに尋ねる。
「どうしたんだ」
「このシャワー、いつまで待っても水が冷たいんです」
どれどれと蛇口の方を見て見る。
温度調整が最低にセットされていた。
調整つまみを捻ってロックぎりぎりまで温度を上げる。
もう一度蛇口を捻って暫く待つ。
今度はちゃんとお湯が出てきた。熱すぎない適温である事を確認する。
「これで大丈夫だ。ここに温度調整があるから、今の位置で覚えていてくれ」
「わかりました。ありがとうございます」
シェラ、わざわざ立ち上がって礼をする。
おかげで見てはいけないところがくっきり画像として私の
なお1枚2枚では無い。上と下と後、全方位を連写状態だ。
「じゃあまた何かあれば言ってくれ」
そう言ってできるだけきっぱりかつ自然に風呂場を去る。
「おとーさん、ありがとう」
アミュの声も聞こえた。
そう、私はお父さん、変態じゃ無いぞ。
そう自分に言い聞かせて私は洗面所の扉を閉める。
そうだ、ついでに寝室の整理その他をしておこう。
あそこは結構散らかっているけれど、寝る場所は他に無いしな。
二人にはベッドを使って貰って、私は折り畳みマットと寝袋で寝る事にしよう。
あと怪しい抱き枕カバーは撤去して押し入れに封印だ。
邪念を誤魔化すべく、私は労働に勤しむことにする。
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