第2話
「・・・なんだよこれ」
変わり果てた自分の姿に動揺するばかり。自分に生えた尻尾を握ると、
「んっ・・・!」
なんか変な声が出た。心なしか声も若干低くなったのか・・・?いやこれは酒のせいか・・・。
それよりも、これじゃ外に出ることもできやしない。本当にどうするんだよ。つーか、尻尾のせいでパンツがきつい。
「うおっ。・・・ココも成長してやがる」
窮屈なボクサーパンツを下ろすと前後にぶら下がっているものもが解放される。履いていたパンツは明らかに今の腰回りとは不釣り合いな小ささに見えてしまう。また、それと同時に着られる服がないに等しい現状をどうにかしないといけない。
俺はバスタオルを腰に巻くと俺はベッドに戻って横になった。布団にくるまってこれは夢の延長線上だ。もう一度寝れば元に戻ってるかもしれない。そんな淡い期待を抱いてもう一度眠りにつく。
連休なのに目覚ましをつけっぱなしにしていたのを忘れて起こされた。やはり寝たところでどうにもならなかった。俺が何をしたというのだ。二十年生きてきた中にこれほどまでにただただ孤独を感じることなどあっただろうか。そんな空しさはひとまず置いといて腹が減ってきた、とりあえず朝食にするこにした。別にそれで気が紛れるわけでもないけど腹が減ってしょうがない。俺は牛乳をコップに注ぎパンを片手に筆を執ることにした。とにもかくにもこれから起きるであろう問題点を書き留めることにした。
・外出ができない
・買い物ができない
・バイトに行けない
・学校に行けない
・服が着れない
とりあえず思いついたのはこのくらいだ。
何よりも今問題なのは買い物に出ることができないことである。食べ物も服も買えないこの状況は若干危ういものがある。ほぼ全裸で飢えるのだけは簡便である。
ということで最初に買い物に行く手段を考えなければならない。夜に出るとしてもこの姿を隠せる服を買わなければこの状況を打破できない。食事をそこそこに俺は押し入れから何かを探し始めた。
なにもなかった。ギリギリ上半身を隠せる大きめのコートはあったがパツパツで下半身はモロ見えで頭隠して尻隠さずを体現している状態である。これは考えの方向性を変えなければ・・・。
シーツにくるまって出る。明らかに怪しい。誰もいない閉店した店に侵入。犯罪ダメ絶対。着ぐるみのていで、一糸まとわぬ姿でGO!!
何考えてんだろ、俺。事態がイレギュラー過ぎてもう頭が追いついていってないんだ。そのまま床にぶっ倒れてお手上げのポーズで完全降伏。
俺の人生どうなんだろ。元に戻って卒業できんのか?就職も結婚も俺できるのか?なんとなく夢も大志も抱かずになんとなく進学してきたけれどこんな想定外な出来事が起きるとは思わないだろ。周りにただ流されてきて、社会に取り残されて呆れるの通り越して笑えてきた。
唐突にベッドの上からデフォルトの着信が流れ始めて憂鬱から解放される。誰かが電話で俺を呼んでくれている。すぐさまスマホをとると連絡先に目を落とす。佐々木清、知り合いの名前を見てこれほど安心できるとは思いもしなかった。
「もしもし」
「あ、亮二。全国ネットで放送されてる!!」
「何が?そんなことよりちょっと話聞いてほしいんだけど!!」
どっちもどっちで承認欲求のつばぜり合いが起きる。
「ああ、町ん中やばいことになってるからちょうど電話で聞こうと思ってたとこ」
「なんの話?」
俺はテレビをつけると見慣れた風景がそこに広っがていた。交差点で正面衝突したただならない数の車と一部が倒壊した建物。アナウンサーは行方不明者の延べ人数をリアルタイムで実況していた。被害が出ている所はバラバラで見たことのある景色は虫食いのごとく荒れ果てていた。
「亮二~?お~い?」
「こっちの方がヤベーな」
「何が?まあ無事なら良かった、他のやつらにも電話かけるから。またな」
電話が切れても俺はテレビを見ながら唖然としていた。
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