第46話46
10月の秋の登下校。僕は校舎の裏手にある駐輪場に自転車を置いて、校舎に入ろうとすると、一つの凍てついた冬の凛とした声が聞こえた。
「署名、お願いしまーす!」
僕がその声を発している当の人のそばに行くとその人は流れる金髪をたなびかせながら、その冷たい氷の目で僕を見つめてきた。
「署名、お願いします」
「なに、やっているの?フレイジャー?」
そう、フレイジャーが署名を始めていたのだ。フレイジャーはブロンズ像のような何者も揺るがない力と、ある種の人を寄せ付けない堅さをその場の空気に発していた。僕は先日あれほどのことをして今度はこんな事をするのか、と僕あきれつつ内容を見た。署名の内容は、女子制服のスカートかロングパンツの選択制の提案の嘆願書?
「これは、スカートだけではなくてロングパンツを選ぶようにすると言うこと?」
「ええ、そうよ。冬でスカートだと寒すぎるわ。だから、こういう選択制の制服を提案したいのよ。署名はいかがかしら?」
「あ、いえ。遠慮(えんりょ)します」
僕は瞬間的にそう言った。それは考えていった台詞(せりふ)ではなくて、体の条件反射的に言った台詞(せりふ)だった。何か、こう言うものには体が反射的に拒否してしまうのだ。僕自身政治とかに関与したいと思いながら実際に署名活動を見ると体が拒否してしまう。しかし、当時の僕はあまりその矛盾を自覚すること無しに返答をした。そして、僕の言葉にフレイジャーはそう、といった。
「なら、仕方ないわね。気が変わったらいつでも言ってきてね。……………署名、お願いしまーす!」
フレイジャーはまた署名活動を再開した。僕は彼女を通り過ぎて校舎の前に行く。
ふと、後ろを見る。彼女のスリムな背中で一生懸命(いっしょうけんめい)に声を張り上げていた。その背中を見ていると一瞬(いっしゅん)オオカミの遠吠えが聞こえた。
僕はしかし、すぐに校舎に入っていった。彼女は一人で戦うのだろうか?と思いながら。
ーかたっ、かたっ。
丸い月にさらに黄色くさせるための液体のトパーズをかけ、溶けて消えて言っていく白雪を乗せたものを美春はフォークで分かち、そして頬張った。
ーはむはむ。
それを美春は食べているのだが、いつもはやったー!と喜んでいるのに、今日は仏頂面のまま食べていた。
それを見た真部とフレイジャーはお互いに目配せをした。
今いるのは僕たちがよく行く、コーヒー館。そこで僕たちはお茶を飲んで、談笑していたのだが、談笑している間に真部とフレイジャーに僕らの不自然なところを気づかせてしまったらしい。二人は不審そうに僕と美春を見てこう切り出したのだ。ちなみに、僕の前に寺島さんがいて、寺島さんの隣にフレイジャーさんがいて、僕の隣、フレイジャーさんの前に真部がいるのだ。
「ねえ、美春。まだ、一樹と仲直りをする気はないの?」
そうフレイジャーが言ったら寺島さんはフォークをぴくり、と止めた。しかし、また何事もないようにホットケーキを食べた。
「……………美春、仲直りをする気はないのね」
「……………」
寺島さんはフレイジャーの問いに無言で答えた。フレイジャーはそれにはぁ、といったあとこちらのほうに振り向いた。
「笹原、確認するけど、あなたと美春が仲違いしたわけは美春が波田(はた)さんのことでさがない噂(うわさ)話をしていたから絶交したのよね」
「ああ、そうだよ」
そう僕が言うと、フレイジャーは肯いた。
「そうね。これは完全に美春が悪いわよね。美春は少しは自分のしたことを顧みないのかしら?ねえ、これどう思う?笹原」
「全く同意見ですよ。寺島さんは自分の非を認めるべきです。誰が見ても悪いのは向こうですから」
かたっ!かたっ!
フォークの演村田が苛立つ音を村田でる。明らかに寺島さんの顔色が不機嫌(ふきげん)虫が張り付いていた。
どうやら、謝る木はなさそうだった。僕は一口コーヒーをすする。そしたら、いきなり寺島さん方ってこう言った。
「ごちそうさま!私、先に帰るから!これ、私の分のお会計。あとよろしく!」
そう言って、千円札を置いて寺島さんは一気に出て行った。
「ちょっと、待ちなさいよ!美春!ごめん、私も出て行くわ。これお会計。あとよろしく」
またもやフレイジャーも500円を置いて寺島さんを追った。
僕と真部は顔を見合わせる。
「どうする?笹原」
「どうもしないよ。僕達はゆっくりコーヒーを飲もう。多分女子同士でしかわからないこともあると思うから…………」
それに真部は肯く。
「そうか、そうだよな。そうしようか」
秋暮れの朱の染まる世界が喫茶店を浸食(しんしょく)しているのを感じながら、僕達はまんじりとコーヒーを飲んだ。
そして、僕らはコーヒーを飲み終え、外に出たらフレイジャーと寺島さんがちょうど話を終えた感じの雰囲気を纏って(まとって)いた。僕は二人に話しかける。
「話は終わったか?」
「ええ、終わったわ」
「……………」
寺島さんはやはり、僕の言葉を無視した。どうやら仲直りは難しいらしい。
「う〜ん。まあ、何はともあれ、ここで解散と言うことにするか?二人とも気まずいと思うから、ここいらで解散と言うことにしよう」
そう真部が言ったら、みんなが肯いた。そして、そういうことになったので解散と言うことになったが、僕はフレイジャーに少し用があったので、帰ろうとしていしているフレイジャーに話しかけた。
「何かしら?一樹」
そうフレイジャーが、大都会にいる少女のように髪を手でとかして、そこ冷えを感じさせる冷気を発しながら言った。
「ちょっと、話がある。カラオケでも何でもいいから話したいんだ。いいか?」
僕はそう言った。そうするとフレイジャーはしばらく考えたあと頷いた。
「ええ、いいわ。今日はお父さんがいないから私の家に行きましょう。リベール瀬野が私の家だから案内するわ。付いてきて」
そう言って、キャサリンが自転車を動かした。僕も後に続こうと自転車を動かしたときに真部がそばにやってきた。
「笹原」
「なに、真部」
僕は真部がこれから用事なのに声をかけるなんて変だな、と思って振り返ったとき、真部が僕をにつららのように透き通り、その先端で相手を追求する、視線を送ってきた。この事で、まだ、真部が僕たちにかけている嫌疑(けんぎ)が溶けたわけではないというを知った。
「笹原、キャサリンとは何のことで話すんだ?」
「別に、たいしたことじゃないよ。勉強のことで教えてもらいたい教科があるんだ。それだけだよ」
僕は下手ないいわけを考えた。こういう現場に遭遇するとあまりいいうそがつけないのだ、僕は。しかし、当然ながら真部は僕のうそをこんなことを言ってついてきた。
「しかし、勉強というなら、俺でもみれるぞ。何で、キャサリンなんだ?」
そうだった。真部は学園でもトップクラスの天才だった。確かにこの理屈では真部に相談しない理由はなかった。
「いや、英語のことで分からないことがあるからさ、フレイジャーに話したくて」
「しかし、英語もできるぞ?」
「いや、絶対フレイジャーじゃないといけないんだ」
そう僕は是が非でも押し通そうとする。真部と僕の視線がぶつかる。だが、この事で先に目をそらしたのは真部だった。真部はフッと笑った。
「分かった。この事は不問にしとく。じゃ朝、キャサリンの家に行くなら近いうちに俺の家に来いよ。約束だぞ」
「ああ、もちろん」
そして、真部は背中を見せて自転車に乗り込んだ。
「ああ、いいよ」
そう言って真部は自分の自転車のほうに向かった。
「笹原ー!早く来なさいよー!」
フレイジャーが叫んでいたから、僕はすぐにフレイジャーの後を追った。
リベール瀬野。瀬野駅の近くにあるマンション。そこにフレイジャー一家が住んでいた。6階のある一室にフレイジャー家族の部屋があった。
その家に入る。やはりそのマンションは普通に日本のマンションと同じく清潔な白い一室、悪く言えば無機的な一室だった。その名にもない玄関を上がって左右に折れてある廊下の右側をフレイジャーが曲がったので僕もそのあとについていく。
その右の曲がり角をさらに左に曲がったところに両側に扉が4つあった。フレイジャーはその奥の部屋に行こうとしているときにこちら側の左の扉が開いた。
出てきたのはアングロサクソン形の中年の女性だった。顔に皺(しわ)があるものの、やせているおばさんだった。
そのおばさんが僕を指さしてwho?といってきた。
「お母さん、この人は友人で同じクラスのこの笹原一樹くんというの」
I sawといったあとお母さんはこう言った。
「ごめんなさい。知らずにいたものだから。どうぞ、ゆっくりしていってね」
所々のイントネーションがおかしかったけど、でもだいぶ流暢な日本語だった。
「はい、ゆっくりします」
そう僕は返事をした。それにフレイジャー母はにっこりと笑った。
「一樹。私の部屋はこっちよ」
「ああ」
フレイジャーにつれられ僕はフレイジャーの部屋に入った。
「おじゃましまーす」
フレイジャーの部屋に入る。部屋に入るとかすかにマリーゴールドのような香りがした。フレイジャーは部屋に入るとベッドに鞄を置いて、こちらに振り向いて向かい合って聞いた。
「で、一樹。話ってなに?」
そうフレイジャーは聞いた。飾りもなにもない、素っ気なく聞いたのだった。
そして、この言葉と同じようにフレイジャーの部屋も素っ気ないものだった。ベッドと本棚とピンクにコーディネートされた部屋。確かに悪いものはないが、ピンクのコーディネートされた部屋もかわいいと言えばかわいかったが、それでもあまりに素っ気がなかった。
「話と言ったら、あのことだ。いじめのこと。波田(はた)さんが弱いという話だ。あれは真意か?」
僕はそう聞いた。聞いたけど、心臓の脈打ちさが鼓動を早くしているのを感じた。
「ああ、あれね」
そう事も無げにフレイジャーは言った。僕はそういったフレイジャーの姿勢に怒りを発した。
「ちょっと、それはどういうことだ!人がいじめで死んでいるのに『あれね』じゃあないだろう!何を考えているんだ、お前は!」
僕はそう怒鳴った。しかし、フレイジャーは僕の怒りを冷ややかな視線で遮断した。
「私は自分の心情を話しただけ、それで批判されても別にかまわないけど、しかし、あなたはいじめについての考えはどのようなものなの?」
「どうって………………」
僕は少し頭を冷やさざるをえないことなのだ。まさか、こんなからみ手を使わされるとは思わなかった。しかし、あとで気づいたのだが、別にフレイジャーは絡み手(からみて)など使わずに、ただ単に率直にこの事を聞いたに過ぎなかった。
「それは……………いじめはいけないことだ」
そう言うとフレイジャーはこちらを見てふっとため息をついた。そのため息は問題を分かるだろうと思っていた生徒が実は未だ分かっていないのを見てふっとため息を見せたのに似ていた。
「そうじゃなくて」
フレイジャーがまるで自分自身がつるで縛られて(しばられて)いて、それを一本、一本ふりほどきながら、僕に向かって言葉を届けた。
「そうじゃなくて、あなた。ちゃんと自分自身の言葉で話して下さい。そうじゃないとこっちもだれに話してしゃべればいいのか分からないから」
そうフレイジャーはいった。しかし、僕のほうこそ、そのこと自体がよく分からなかった。ちゃんと自分の言葉で話しているつもりなのだ、僕は。
「僕はちゃんと自分の言葉で語っている。そして、いじめはいけないことだと思っているんだ。何か、文句はあるか?」
僕はそう言った。そういったらフレイジャーが僕の顔を注視した。
「分かったわ。あなたの言葉をそれじゃあ、信じましょうか。それで、なら言うけれど、いじめについては悪いと言うことに私にも異論はないわ。だけど、自殺に関してはどうかしら?自殺に関しての責任は当人にもあるのではなくて?なぜなら、いじめを受けたならやり返すか、登校をしないようにすればいい訳なんだから、だから、自殺を行うのは当人の責任ではなくて?」
そう、フレイジャーは言った。そして、僕はその言葉に頭を真っ赤にしながら憤激(ふんげき)していた。何を言っているのだ。この女は……………。こんなことを言うなんて、正気とは思えない。
そう僕は思った。いじめをされるものが逃げたり、戦ったりすることができるから、自殺をすると言うことも選択の一種に数えるから自殺は一種の責任、だって?
この女は正気とは思えない。それで、僕は言った。
「正気か、お前は!いじめを受けたものが一種の選択をできるなんて、正気だとは思えんぞ!いじめはな、それをしたやつが悪いんだ。それは絶対的に悪いんだ。それでいじめを受けたら場の色が真っ暗闇になるんだ。なにも考えれなくなるんだ。お前は、それを分かっているのか!?」
僕はそう怒鳴ってやった。しかし、フレイジャーは僕の怒鳴りに何のリアクションを見せなかった。
「では、あなたはいじめは人間の尊厳を奪うから、いじめを受けたものは自己決定できないというのね?」
「ああ」
「じゃあ、人間の尊厳を奪われたものは自己決定をしなくてもいいというのね?しかも、決定をとれないから責任を取らなくてもいいというのね?」
「ああ、そうだよ。自己決定できないから保護をしないといけないんだ」
そう、僕はいいたいことを言ってやった。しかし、僕のこの台詞(せりふ)にフレイジャーが鋭く突いてきた。
「笹原、あなた保護を取るべきだと言ったわね?でも、だれが、この事を保護するのかしら?」
「え?」
「だれがいじめられたものの人を保護するのかしら?と聞いているの?教師かしら?でも、教師はクラスのことを平静にさせることはできても、不登校になった生徒を関わることはできないし、その子が卒業したらどう関わるのかしら。
教師がダメなら、親が関わるのかしら?でも、親と距離を取りたい人もいるだろうし、それはちょっと慎重に考える必要があるわね。それに親子だけで解決させようとしても子供は負担になるし、親だけが保護しても最終的にその子は社会に関与できることになるのかしら?
あとは臨床心理士が関わるのかしら、でも、本当に彼らが本当にいじめた人の存在に関わることができるのかしら?自分を出さずにひたすら人の話を聞き出す汚い連中が彼らを保護することができるのかしら?あと、彼らが話をするだけで救うことができるのかしら?それで彼らの人生が何か変わるのかしら?
やはり、自分で何かを救うのは自分の力で何かを得なければ、ならないのではないじゃなくて?いや、むしろ、自分の力で得た何かではないと何も彼らを回復することができないと思うわ」
そう言う言葉を僕は黙って聞いていたが、すぐに反論を試みた。
「ちょっと、何を根拠に臨床心理士が汚いやつというのさ。彼女たちはすごく親切に人の話を聞いてくれるよ。彼女たちがいるから、当人の心の傷は少し落ち着くんじゃないの?」
そう、僕はいった。当時はまだカウンセラーや、精神医学に対して好意的な目をしていたのだ。
そして、僕がそれを言ったらフレイジャーはすっと目を細めた。
「あなた、カウンセラーにはかかったことがある?」
「あるよ」
僕には真部や寺島さんに話してないけど、僕は精神科医にかかっているのだ。そこでカウンセリングをしてもらっているのだが、ここからフレイジャーはいったい何を言うつもりなのか?
「それであなた」
フレイジャーは僕の決定的な弱点を突いてきた。
「そのカウンセラーと話して、心が楽になった?」
そのようなフレイジャーの銃撃が確実に僕を打ち抜いた。
「うっ!………それは………………」
そうなのだ。それについては僕は答えられないのだ。僕はカウンセラーと話をしたりはするが、正直言って自分の悩みを打ち明けたことなど、全くと言っていいほどないのだ。カウンセラーと話そう、話そうと思っていてもつい話せない。全然知らない人にこの事を話そうと思っていても、なかなかできない相談なのだ。相手のことをうまく知らないと悩みを伝えると言うことができないのだ。
「分かったようね。そう、あなたはカウンセラーに対して、うまく自分の話を伝えることができない。
あなたが悪いというわけではないのよ。ただ、カウンセラーという職業はどこか異質な職業なの。金を払ったりするだけで悩みを相談する方がどこかおかしいのよ。それで、あなた自身。カウンセラーでなにも救われない、と感じているのね?なら、どうしてカウンセラーがいじめを救えるのかしら?私にはそっちのほうが疑問だわ。今のあなたがいるのはあなた自身の力じゃあないかしら?」
僕はそれには黙った。全身を羞恥(しゅうち)に染め、オオカミにおびえる子鹿のように、内心おびえたまま、聞いた。
「じゃあ、お前はいじめた者は自分自身の力で立ち上がらないといけない、と言うのか?」
「ええ、そうよ」
フレイジャーは相撲取りが腰(こし)を低くして相手をがっしりつかんでいるように、僕にも重量感が感じさせるほどの言葉を発した。
当時の僕はそれには納得できなかった。何か、傷つけられたものは当然の何かの権利があるように思えてならなかったのだ。
「あり得ない。それは絶対にあり得ないことだ!いじめを受けたら心に傷があるわけだから、それを絶対に回復させなければならないはずだ!それを放っておいて、いじめられても立ち上がれ、何て言うことは絶対におかしいはずだ!違うか!」
しかし、僕の怒鳴り声にフレイジャーは素っ気なく返事をした。
「違うわ」
僕は次の言葉を言うために何かを言おうとしたが、その前にフレイジャーがいった。
「笹原、あなたはいじめを受けたり、心の傷を受けたらどこかで回復できるといったわね。しかし、そんなものはどこにあるかしら?いったい、日本のどこにそんなものがあるのかしら?
むしろ、そんなところに入ったら自分の病状や心の傷を認識して、さらに症状が深まるだけだわ。やはり、私は自分の力で立ち直るしかないわね。どんな傷も他人に癒されるとは期待しないで、自分の力で立ち直るべきよ。あなただって、そうだったはず。だから、私は波田(はた)さんを弱い人だといったのよ」
僕は口をぱくぱくさせていたが、やがて、聞きたいことも聞いたし、言いたいことも言った。まだ、反論をしたい気持ちになったけど、今日の所はいったん引こうという気になった。
「分かった。いろいろと言いたいこともあるけれど、今回の所はいったん引くわ。もう遅いしな」
「ええ、そうね」
それでぼくはフレイジャーの部屋を出た瞬間、フレイジャーの母がお茶を持ってきて、僕たちの前に立っていた。
「おお!話は終わりましたか?」
フレイジャーはははにっこりと笑ってそう言った。
「ええ、終ったわ、母さん」
「そうですか、ではついでにお菓子も食べませんか?」
「そうよ、あなたも食べていけば?」
フレイジャーも、これに同調するようにいってきた。それに僕も好意の申し出を断るほど、野暮(やぼ)ではないので承諾をした。
「ええ、構いません」
それから、3人してコーヒーとマドレーヌを食べた。雑談しながら食べるマドレーヌの甘さがどこか僕の味覚に引っかかっていた。
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