第8話 試練
「あ、いいの?!こんな俺が教えていいの?」
「『こんな俺』って快星くんが頭いいのは私でも知ってるよ!逆に教えてもらえるなんてありがたいのはこっちよ。」
断られたらどうしようと不安になっていた快星の思いとは反対に愛奈は笑顔で答えた。
「じゃあ、この『試練』って小説の内容を説明させていただきます!」
快星は幸せそうな表情でいうと、説明し始めた。
「この話はさっき言っていた通り結構わかりづらく書かれているんだけど、砕いてせ内容を理解していくとどんどん解っていって面白い話なんだ。だから砕いて内容を教えていくね。」
「うんうん、よろしく!」
「主人公は、わかると思うけど
天太に最初に訪れた『試練』は小さな『不幸』で読めばわかるけど最初に起こった『不幸』は本当に小さなものだったんだ。それでもその小さな不幸を超えられなかった時点で天太はその日の朝に戻ってしまうんだ。そしてやっとの思いで『不幸』を超えたとき次に待っていたのは、『死』。
話の中では天太の恋人が死んでしまうんだ。それももちろん死んでしまったら、死なせてしまったらまたその日に戻る。そうやってまた1日を繰り返すうちに天太は気付くんだ、自分が死ねばこの1日は終わって救えるんじゃないかって。そうやって天太は自分の死を選んだんだ。
そしたら天太は次の日を迎えた。そこには恋人もちゃんといたし自分もちゃんと生きていた。結局のところ作者が伝えたいことは『誰かを救うために自分を犠牲にすることはできるか?』ってところだと思う。この作者は元々恋愛系の小説書いてるひとだから、もっと深入りすると
『今の恋人は自分を犠牲にしても守りたい恋人ですか?』
みたいな感じかな。」
し、しまった……!!あまりにも真剣に説明するあまり、つい熱弁してしまった……。
何を隠そう、勉強のできる快星は勉強を特に『苦』とは思っていなく、どちらかというと楽しんでいる俗に言う『勉強ヲタク』であった。故に愛奈に教えていることは頭にあったもののスイッチが入ってしまったのである。
「ご、ごめんね愛奈さん!つい熱が入ってしまって……。って愛奈さん?!?!」
愛奈の目からは涙が溢れていた。
「だってこんな話だと思わなかったんだもん……。」
鼻をすすりながらも愛奈は聞かれてもいない涙のわけを答えた。
「そんなに感動する話かな?俺は少しひどい話だと思うよ……。自分を犠牲にして残った彼女はどうなるの?って俺は考えちゃうんだ。それだったら何回繰り返してもいいからどっちも助かる方法を探すよ俺だったら……。」
「快星くんは優しいんだねっ!」
愛奈は初めて快星に対して笑った。
「今度は愛奈さん泣いてるし……カイカイはなにしてんだ?!」
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